2025.02.05
クリニック奮闘記
Vol.839 医療機関に対する個別指導(概要)
日本においては、厚生労働省が管轄している厚生局から、医療機関の指導が定期的に行われています。レセプト単価の上位にランクされている医療機関は、個別指導という形で診療報酬の請求について指導を受けるのですが、どのような算定項目について指導を受けるのでしょうか。厚生局がどのような視点でチェックをしているのかをまとめておきます。
主な指導対象となる算定項目
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初・再診料:
- 適切な初診料や再診料を算定しているか
- 同一日に複数の診療科を受診した場合の算定方法
- 時間外加算や深夜加算の算定要件を満たしているか
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検査:
- 必要のない検査を行っていないか
- 検査の実施回数や検査項目が適切か
- 検査結果の解釈や記載が適切か
- 画像診断料の算定方法
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投薬:
- 必要のない薬剤を投与していないか
- 薬剤の投与量や投与期間が適切か
- 複数の薬剤を併用した場合の相互作用
- 麻薬や向精神薬の管理
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注射:
- 必要のない注射を行っていないか
- 注射の実施回数や投与量が適切か
- 注射薬の選択や投与方法
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処置・手術:
- 適切な処置や手術を選択しているか
- 処置や手術の実施内容や記録が適切か
- 複数の処置や手術を組み合わせた場合の算定方法
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その他:
- 医学管理料や在宅医療に関する指導
- 特定疾患療養管理料や生活習慣病管理料の算定要件
- 訪問看護ステーションとの連携
指導事例
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検査:
- 「慢性疾患の患者に対し、定期的な血液検査を行っているが、検査項目が過剰である」
- 「画像診断(CT、MRIなど)を頻繁に行っているが、その必要性が乏しい」
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投薬:
- 「複数の医療機関から同じ薬剤が処方されていることに気づかず、重複して投与している」
- 「長期投与が必要な薬剤について、漫然と投与を継続している」
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処置・手術:
- 「実際には行っていない処置や手術を請求している」
- 「手術の際に使用した材料費を過剰に請求している」
指導を受けた場合の対応
- 指摘された内容について、カルテや診療記録などを確認し、事実関係を把握する
- 指摘された事項について改善計画を作成し、厚生局に提出する
- 改善計画に基づいて院内体制を整備し、医療従事者への教育を行う
- 改善状況を定期的に厚生局に報告する
注意点
- 指導事例はあくまで一例であり、すべての医療機関に当てはまるわけではない
- 指導内容は医療機関の規模や診療科、地域によって異なる場合がある
- 指導を受けた医療機関は、改善計画に基づいて適切な対応を行う必要がある