Vol.842 カルテ記載とコンプライアンス

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クリニック奮闘記

2025.02.05

クリニック奮闘記

Vol.842 カルテ記載とコンプライアンス

カルテは、患者の診療経過や治療内容を記録する重要な書類であり、法律(医師法)で医師に作成・保管が義務付けられています。しかし、現場では医師の負担軽減のため、一部の記載を事務スタッフが代行することがあります。

このような状況下で、カルテ記載におけるコンプライアンスを遵守するためには、以下の点に注意する必要があります。

1. カルテ記載に関する責任の所在

  • 医師の責任: カルテの作成・記載・保管は、最終的には医師の責任です。事務スタッフが代行する場合でも、医師は記載内容を確認し、責任を負う必要があります。
  • 事務スタッフの役割: 事務スタッフは、医師の指示に基づき、カルテの作成・記載を代行します。ただし、医学的な判断や診断に関わる記載はできません。

2. カルテ記載の代行範囲

  • 代行可能な範囲:
    • 患者の基本情報(氏名、年齢、住所など)
    • 検査結果の入力
    • 処方内容の入力
    • 診療予約の記録
    • その他、医学的判断を伴わない事務的な作業
  • 代行不可な範囲:
    • 問診内容の記録
    • 診断結果の記録
    • 治療計画の記録
    • 手術記録
    • その他、医学的な判断を伴う記載

3. カルテ記載のルール

  • 正確性: カルテには、正確な情報を記載する必要があります。誤った情報や曖昧な表現は避け、客観的な事実に基づいた記載を心がけましょう。
  • 網羅性: 患者の症状、検査結果、治療内容、経過などを網羅的に記載する必要があります。重要な情報が欠落していると、適切な診療が行えなくなる可能性があります。
  • 時系列順: カルテは、時系列順に記載する必要があります。いつ、どのような診療が行われたのかが分かるように、日付や時間を明記しましょう。
  • 署名・捺印: 記載者(医師または代行者)は、カルテに署名・捺印する必要があります。これにより、記載内容の責任の所在が明確になります。

4. コンプライアンス遵守のための対策

  • マニュアル作成: カルテ記載に関するマニュアルを作成し、医師・事務スタッフ全員が共通認識を持つようにしましょう。
  • 研修実施: カルテ記載に関する研修を定期的に実施し、医師・事務スタッフの知識やスキル向上を図りましょう。
  • チェック体制構築: 記載されたカルテを医師が確認するチェック体制を構築し、記載内容の正確性や網羅性を確保しましょう。
  • 監査実施: 定期的にカルテの監査を行い、不適切な記載や記載漏れがないか確認しましょう。
  • 情報システム活用: 電子カルテシステムを導入し、記載内容の統一化や効率化を図りましょう。

5. その他

  • 個人情報保護: カルテには、患者の個人情報が記載されています。個人情報保護法に基づき、適切な管理体制を構築し、情報漏洩を防止しましょう。
  • 診療情報開示: 患者から診療情報の開示を求められた場合、法令に基づき、適切に対応する必要があります。

まとめ

カルテ記載は、患者の診療において非常に重要な役割を果たします。コンプライアンスを遵守し、適切なカルテ管理体制を構築することで、患者の安全確保や医療機関の信頼性向上につながります。

上記を参考に、各医療機関でカルテ記載に関するルールや体制を見直し、コンプライアンス遵守に努めてください。