Vol.843 不正を未然に防ぐための院内ガバナンスの構築

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クリニック奮闘記

2025.02.05

クリニック奮闘記

Vol.843 不正を未然に防ぐための院内ガバナンスの構築

診療報酬の不正請求は、医療機関の信頼を損なうだけでなく、患者や保険者にも多大な迷惑をかける行為です。そのような事態を防ぐためには、院内のガバナンスを強化し、不正請求を未然に防ぐための体制を構築することが重要です。

1. 組織体制の確立

  • コンプライアンス委員会の設置: 診療報酬の適正な請求に関する方針や規定を定め、職員への周知徹底を図る。
  • 責任者の配置: 診療報酬の請求に関する責任者を明確にし、その役割や権限を定める。
  • 内部監査部門の設置: 定期的に診療報酬の請求状況を監査し、不正請求の疑いがある事例を早期に発見する。

2. 規程・マニュアルの整備

  • 診療報酬請求マニュアルの作成: 診療報酬の算定方法や請求手続きに関するマニュアルを作成し、職員への周知徹底を図る。
  • 不正請求防止規程の作成: 不正請求を防止するための内部統制に関する規程を作成し、職員への周知徹底を図る。
  • 利益相反管理規程の作成: 職員の利益相反行為を防止するための規程を作成し、職員への周知徹底を図る。

3. 職員教育の徹底

  • 研修の実施: 診療報酬に関する研修を定期的に実施し、職員の知識や意識向上を図る。
  • eラーニングの導入: 診療報酬に関するeラーニングを導入し、職員がいつでもどこでも学習できる環境を整備する。
  • 事例研究の実施: 過去の不正請求事例を研究し、職員の不正請求に対する意識を高める。

4. チェック体制の強化

  • 請求内容の確認: 診療報酬の請求前に、請求内容が適切かどうかを複数人で確認する体制を構築する。
  • ダブルチェックの実施: 請求内容を別の担当者が再度確認するダブルチェックの体制を構築する。
  • アラート機能の活用: 診療報酬請求システムのアラート機能を活用し、不適切な請求を早期に発見する。

5. 内部通報制度の導入

  • 内部通報窓口の設置: 不正請求に関する情報を職員が匿名で通報できる窓口を設置する。
  • 通報者の保護: 通報者のプライバシーを保護し、不利益な扱いを受けないようにする。
  • 通報内容の調査: 通報された内容を適切に調査し、必要に応じて改善策を講じる。

6. 外部監査の活用

  • 公認会計士による監査: 定期的に公認会計士による監査を受け、診療報酬の請求状況をチェックする。
  • 監査法人の活用: 監査法人を活用し、診療報酬の請求に関するアドバイスや指導を受ける。

7. ITシステムの活用

  • 診療報酬請求システムの導入: 診療報酬の算定や請求を自動化するシステムを導入し、人為的なミスを減らす。
  • データ分析の活用: 診療報酬データを分析し、不正請求の疑いがある事例を早期に発見する。

8. 継続的な改善

  • 定期的な見直し: 診療報酬に関する規程やマニュアルを定期的に見直し、改善点があれば随時修正する。
  • 職員へのアンケート: 職員の意見や要望を収集し、改善策を検討する。
  • 成功事例の共有: 他の医療機関の成功事例を参考に、自院のガバナンス体制を改善する。

9. 法令遵守意識の向上

  • コンプライアンスポリシーの策定: 診療報酬の適正な請求に関するコンプライアンスポリシーを策定し、職員への周知徹底を図る。
  • 倫理教育の実施: 職員に対し、倫理的な観点から診療報酬の請求に関する教育を実施する。
  • トップの意識改革: 医療機関のトップが率先して法令遵守意識を高め、職員に示すことが重要である。

これらの対策を講じることで、診療報酬の不正請求を未然に防ぎ、患者や保険者からの信頼を得ることができます。