2025.02.18
クリニック奮闘記
Vol.845 採用面接で伝えること(働きかた改革の意味するところ)
前回は、プロフェッショナルの仕事の流儀として、"正しく考える"ということについてお話をいたしました。人生・仕事の結果は=考え方×熱意×能力であり、考え方が間違っていると結果がマイナスになってしまいます。前回に引き続き、面接でお話する内容をご紹介いたします。本稿では、国策として推進されている"働きかた改革"の実体についてのお話です。あくまでも私が見ている世界観で私見であることは否めませんが、一部は事実として捉えられるのではないかと思いますので、ご紹介しておきたいと思います。
一般的に"働きかた改革"というと、どのようなイメージを持たれるでしょうか?
働きかた改革の3つの柱として、①長時間労働の是正 ②柔軟な働きかたの実現 ③雇用形態別格差の是正 が挙げられます。雇用される立場で読み解くと、バラ色の労働環境の様に思えます。
ところが、政府のプロパガンダには、目的語が不明瞭であると感じています。つまり、『生産性向上のために』というメッセージが見当たらないのです。
例えば、①を例にとって説明しますと、"残業できない" "有給休暇の取得"" により労働時間の削減を余儀なくされた結果、これまでは残業しながらでも100のアウトプットができていた人が、80しかアウトプットできなかった場合を考えてみましょう。
本人の言い分としては、残業できないから、休まないといけないから、"仕方ない" という理屈が出てくるかもしれませんが、アウトプットが減っている以上、評価を下げざるを得ません。
ただし日本では、すぐに減給するようなことはできません。しかしながら5年~10年の期間の中では適正な評価になっていきます。
つまり、私たちに求められていることは、今までよりも短い時間の中で生産効率を上げることを求められているわけです。しかも昇給や賞与を考えた場合、"生産効率を上げ続けること" を要求されていることになります。
政府は、働きかた改革という文脈の中で"補助金"を予算として計上しています。
事業所(クリニック)に対しては "DX補助金"・・・・設備投資による業務効率の向上
働く個人に対しては "リスキリング(学び直し)"・・・・ 研修等受講により個人のスキルアップを目指す
世の中は今まで以上に、成果主義へと向かっています。
結果を出せる人は、全体の中のごく少数です。だからといって諦めてはいけません。政府は補助金を出して支援してくれています。事業所(クリニック)と個人の両方に対して行っています。これに乗っかって努力するかしないかは個人の問題です。全員が恩恵に預かれるというものでもありません。社会は格差を飲み込みながら成長していくことを選択しました。
国が悪い、社会が悪い、会社が悪いということではありません。会社(クリニック)が頑張らないといけないこと、個人として頑張らないといけないことの両輪を回しながら向上していく必要があります。
面接の中でこの様なお話をするのですが、共感して頂けるのは極めて少数です。しかしながら少数ではありますが価値観を共有できるスタッフと仕事ができていることは幸せであると思っています。
先生方に置かれましても、採用に関してはクリニック(院長として)のメッセージを強く発信していくべきです。
一つの船に乗って、同じ目的地にいくための基本的な考え方ではないでしょうか。