2025.02.28
クリニック奮闘記
Vol.849 経営指標としてのレセプト単価の考え方
弊社はレセプト請求代行(レセプト点検)を行っているますが、先生方からのご相談の中で『レセプト単価の低さ』に問われることがあります。その背景には、厚生労働省やコンサルティング会社、あるいは会計事務所から比較検討のために出される他院との平均データ比較があります。
平均データと比べてレセプト単価が低いので、算定漏れがないか気にされているご様子です。
この様なご相談を頻繁に受けるのですが、本稿では一つの考え方(視点)について解説してみたいと思います。
結論から申し上げますと、平均データとの比較に一喜一憂する必要はありません。
一般的にクリニックにおける診療スタイルは、診療ガイドラインに沿った形で行われているので、個々クリニックに特異性はないものと考えられます。また平均値を算出する上で、分母の母数が大きくなればなるほど、データの値は中央値によってきます。
つまり、特定の診療科目における傾向のようなものは把握できますが、そのデータのブレ幅はかなりあるということも考えられます。
平均値で語るのではなく、あくまでも自院の診療スタイルの中でレセプトの中身を吟味する必要があるということになります。
(内視鏡クリニックのレセプト単価について)
処置や検査、外来手術を積極的に行っているクリニックの場合は、レセプト単価が高くなる傾向があります。
まず、外来患者数の総数に対する対象検査(手術)の件数の割合をチェックしてみましょう。
内視鏡検査をウリにしたクリニックであれば、検査件数の割合が低ければ当然に他院よりもレセプト単価は低くなります。
検査件数についてはウェブサイトに実績を掲載しているクリニックも多いので、実数での比較を行ってください。
KPI(経営指標)として捉えなければならないのは、レセプト単価ではなく検査件数にあります。
大きな算定漏れはあまりないと考えてください。
ただし、大腸カメラを行っているクリニックの場合は、短期手術基本料の算定の有無がレセプト単価に大きく影響することがありますので、精査の必要があります。
レセプト単価を上げるためには、①来院回数を増やすこと②診療コストの算定(検査、処置等を行うこと、算定漏れをなくす)
を吸する必要があります。算定漏れを無くすことについては医療機関側の正当な理由がありますが、それ以外の理由については患者のコンセンサスがなければ逆効果になるおそれがあります。
院長先生の医学的判断のもとで行われているとされる検査や処置について方針変更をする、あるいは通院回数を増やすことは患者負担の増加にもなり、患者離れが起こる可能性があります。
問題はレセプト単価の低さの改善ということではなく、必要な検査、受診をしっかり促すための患者指導(啓蒙)によりDrop outをなくしkンじゃ満足度の向上に資することではないでしょうか。
(参考)オリンパス社、島津製作所