2025.03.17
クリニック奮闘記
Vol.863 スタッフが守るべきクリニックの行動規範
なぜ経営に理念が必要なのでしょうか。
そもそも理念とは何か? と言われそうですが・・・・。
院長先生が一人でクリニックを切り盛りするのであれば、理念は必要ないかもしれません。この場合の "ひとり" というのは診察だけでなく
注射処置は言うまでもなく受付会計までを含むワンオペを言います。患者に接する人が院長以外に誰もいない場合、院長先生の考えに基づいて患者対応まで行われています。ご自身で考えている"理想"の実現に向けて行動しているわけです。ところが現実はそうはいきません。受付スタッフに看護師が必要です。分業することで一人でも多くの患者に対して、質の高い医療を提供することができるようになるからです。ここで院長先生と患者の間にスタッフが介在する場合に何が起こるかを考えてみて下さい。スタッフは院長先生と100%同じ考え(価値観)で患者に接しているとは限りません。同じ考えで患者対応するためには、院長先生の考え方、理念を伝えていかなければなりません。そのために診療理念(経営理念)があります。これは院長先生の理想を言語化したものです。スタッフに伝える場合には、細かくかみ砕いて理解してもらう必要があります。そうしなければ院長先生の考えと同じレベルで理解してもらえないからです。次に、その診療理念を実現すべく具体t系な行動規範なるものが必要となります。概念的なお話だけでは、どのように行動すればよいのかが分からないからです。事象に合わせて具体的な行動ができる様に行動規範を作成してみましょう。もし仮に、クリニックの行動規範に理解を示さないスタッフがいたらどうするのか?
おそらく、そのスタッフはとても仕事ができる人でしょう。自分に自信がある人は、自分流で仕事をしてしまいがちです。『この方が仕事が上手くいくから』と行動規範を無視して、自分の物差しで判断をしてしまう人の可能性があります。
このようなスタッフをどう取り扱ったらよいのかと、よく相談を受けるのですが、『指導対象』となりますというのが答えです。いくら仕事ができるとはいえ、放置はできるものではありません。100人以上の規模であれば、一人二人のスタッフが違う方向を向いていたとしても全体の方向性には誤差の範囲で考えられますが、数人規模のクリニックでは、全体の雰囲気やパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。まず、指導教育が必要です。クリニックの方針として従うことを本人に要求します。その結果、改善されなかった場合、仕事の成果として評価できないことを本人にもフィードバックしましょう。最悪のこととして辞めてしまっても仕方のないことです。
先生方のクリニックの診療理念や行動規範は、いわば職場の憲法です。絶対遵守がスタッフに求められることをメッセージとして伝えていきましょう。