2025.03.24
クリニック奮闘記
Vol.867 変わることを拒む人たちがクリニックの成長を阻んでいる
属人性の強い業務の仕方が、生産性の向上を阻害するということはこれ迄にも触れてきました。
人任せの仕事は業務が蛸壺化してしまって、中身の評価ができなくなります。『何をやっているんだろう』と考えつつも人手がないので任せるしかないというのが実際のところなのではないでしょうか。
どんな仕事も今のやり方がベストだということはありません。将来に向けて改善の繰り返しをしていかなければ外部環境の変化に対応していくことができなくなります。
人財不足のクリニックだけでなく、充足しているクリニックでも認識すべき問題があります。
殆どのクリニックでは、レセプト担当者がいらっしゃいます。このレセプト担当者の仕事の仕方について考えてみましょう。
あるクリニックにレセプト担当者がいます。このクリニックではレセプト実務ができるスタッフが、この人しかいないため院長先生は業務の全てをお任せ状態です。日頃から頑張っているのはよくわかるのですが、残業時間の多さが気になっています。
心配をしている院長がスタッフに声を掛けたところ、『件数が多いので時間がかかってしまいます。週末の土日も残業します。』というのです。
仕事の中身が分からない院長としては任せるしかないのですが、毎月の残業時間は看過できるものではなくなっています。
当初は5000円程度の残業代も、今や3万円を超えるようになり生活給の一部となっています。
そこで、負担になっているレセプト業務を外注し残業時間の削減と、全体の業務フローの見直しを行うことにしました。
レセプト業務を外注したので、残業時間は減るものと思っていましたが、その効果は全くありません。レセプト点検を外注業者に依頼しているにもかかわらず一向に変化がないのです。
『レセプト点検の結果を確認しないといけないので時間がかかります。』というのが彼女の理由の様です。
こうなるとレセプトを外注している意味がなくなってしまいます。
本音の部分は生活給化している残業手当がなくなることが障害となっているだと思います。
改善策としては、
①残業と認めた業務しか手当の対象としない
②みなし手当として残業代を支給する(総額の削減にはなりますが根本的な解決にはなりません)
この場合は、期限を決めて手当を廃止することを明確に伝えた方がよいでしょう。
この様にいい方向に改善しようと取り組んでも、現場の反対に合って思うように改善されないことはよくあります。
この場合は残業手当が障害になって前に進まないようですが、根本的な原因がどこにあるのかを精査して改善プランをたてるようにしましょう。院長先生がたてたクリニックの方針に沿わないスタッフについては、評価ができないというメッセージも伝える必要があるでしょう。
※『クリニック経営はレセプトが9割』より内容抜粋