Vol.875 価格戦略について考えてみよう

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クリニック奮闘記

2025.04.07

クリニック奮闘記

Vol.875 価格戦略について考えてみよう

医療は公定価格なので、今のところは価格戦略とは無関係かのように思えるかもしれませんが、混合診療という文脈の中ではあながち無関係であるとはいえないのではないでしょうか。

いわゆる自由診療部分のお話になりますが、患者にとって診療の選択肢が増えることになると同時に医療機関の選択肢も増えることになります。

保険適用外の診療が広がってくると、公定価格だからとのんきに構えていられなくなります。

そのような場合に備えて、価格戦略について準備のための基礎知識をご紹介しておきましょう。

値段を下げることが価格戦略でないということを最初に伝えておきます。

価格を下げるということは、サービス(商品)価値を下げることを意味します。公定価格の場合、医師の技術力に関わらず一律の診療費であるわけですが、自由競争となると価格設定は自由です。高く売るのも安く売るのも自由なのです。

では安売りすればようのかというと、そうではありません。先述した様に価値を下げることになるのです。

安くした分、ブランド価値が毀損していると考えなければなりません。

先生方の医療技術の価値を自ら下げてしまっているのです。

原材料費の高騰により物価高になっている昨今、どこの事業所を真剣に値上げを考えてます。値上げしなければ生き残れないからです。

原価の高騰により値上げをするというであれば、値上げ分は付加価値にはなりえません。万一、何らかの理由で原材料費が下がったら・・・・、また値引きするのでしょうか?

ディズニーランドのチケットの原価を問う来場者はいないでしょう。体験にその価値があると考えているため、利用者は原価は問わないのです。

医療サービスも同じであるべきです。患者が求める医療の質が提供されていれば、提供者側の値段で販売しても文句は言われないはずです。

サービスのレベルが同じである場合、競合よりも安くという心理が働きますが、安売合戦は業界全体の市場をシュリンクさせることになります。

選んでもらうためにお互いが値引きをすることで、サービス単価が下がってしまいます。

サービスを安売りするのは簡単ですが、元の値段で売るのは非常に難しい。

価格競争で大事なことは、まずブランド価値を損なわないようにすること。値引きすることが価格戦略ではないということ。

公定価格が適用されている医療業界だからこと考えて欲しいのです。

サービスの質が料金(診療報酬)に見合っているのかということを。判断の基軸は医療機関にあるのではなく患者側にあります。

価格の多寡ではなく、サービスの質の追求という観点で頑張りましょう。