Vol.879 スタッフの補充と生産性について

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クリニック奮闘記

2025.04.07

クリニック奮闘記

Vol.879 スタッフの補充と生産性について

ベテランスタッフの退職は、クリニックにとって大きな影響を与える出来事であり、今後の人員配置と生産性について慎重な検討が必要となります。すぐに補充採用を行うか、現状スタッフで頑張るかという二つの選択肢の間で悩まれるのは当然のことです。それぞれの選択肢のメリット・デメリット、そして両方の視点を取り入れた考え方を以下にまとめました。

1. 現状スタッフで頑張る場合の検討事項

メリット:

  • 採用コストの削減: 求人広告費、面接にかかる人件費、紹介手数料などが不要になります。
  • 教育コストの削減: 新しいスタッフへの教育にかかる時間と労力が不要になります。
  • チームワークの維持: 新しいメンバーが入ることで生じるかもしれない、既存スタッフ間の不安や摩擦を避けることができます。
  • 一時的なモチベーション向上: 「皆で乗り切ろう」という意識が生まれ、一時的に連帯感が高まる可能性があります。

デメリット:

  • 既存スタッフへの負担増加: 業務量が増え、残業時間の増加や休日出勤の可能性が高まります。
  • 疲弊によるミスやモチベーション低下: 長期的な負担増は、スタッフの心身の疲労を招き、ミスやモチベーション低下に繋がる可能性があります。
  • サービスの質の低下: 業務過多により、患者さんへの対応が疎かになったり、待ち時間が長くなるなど、サービスの質が低下する可能性があります。
  • 休職や更なる退職のリスク: 一部のスタッフに過度な負担がかかると、休職や更なる退職に繋がるリスクがあります。
  • 新たな業務改善の機会損失: 新しい視点を持つ人材が入ることで生まれるかもしれない、業務改善のアイデアが得られません。

2. すぐに募集採用する場合の検討事項

メリット:

  • 早期の負担軽減: 新しいスタッフが入ることで、既存スタッフの負担を早期に軽減できます。
  • サービスの質の維持・向上: 適切な人員配置により、患者さんへの質の高いサービスを維持・向上させることができます。
  • チームの活性化: 新しいメンバーの加入は、チームに新しい風を吹き込み、活性化に繋がる可能性があります。
  • 業務効率化の可能性: 新しい視点やスキルを持つ人材により、業務効率化のアイデアが生まれる可能性があります。

デメリット:

  • 採用コストの発生: 求人広告費、面接にかかる人件費、紹介手数料などが発生します。
  • 教育期間中の生産性低下: 新しいスタッフが業務に慣れるまで時間がかかり、一時的に全体の生産性が低下する可能性があります。
  • 既存スタッフへの負担: 新しいスタッフへの教育担当者の負担が増える可能性があります。
  • チームへの適応: 新しいスタッフが既存のチームに馴染むまでに時間がかかる場合があります。

3. 生産性低下を考慮した人員補充の考え方

教育期間中の生産性低下を最小限に抑えつつ、現状スタッフへの負担を軽減するためには、以下の点を考慮することが重要です。

  • 業務の洗い出しと優先順位付け: 退職したスタッフが担当していた業務を細分化し、緊急度や重要度に応じて優先順位をつけます。
  • 既存スタッフへの業務分担の見直し: 優先度の低い業務を一時的に保留したり、可能な範囲で既存スタッフ間で業務を再分担します。
  • 教育体制の整備: 新しいスタッフが入った場合の教育担当者を明確にし、教育マニュアルや研修プログラムを準備しておくことで、スムーズな教育を目指します。
  • 段階的な業務移行: 新しいスタッフの習熟度に合わせて、段階的に業務を引き継いでいきます。
  • 既存スタッフへのサポート: 業務負担が増える既存スタッフに対して、声かけやサポート体制を強化し、疲弊を防ぎます。必要に応じて、一時的な残業手当の増額や休暇取得の推奨なども検討します。
  • 採用ターゲットの明確化: 即戦力に近い経験者を採用することで、教育期間を短縮し、早期の生産性回復を目指します。
  • 非常勤スタッフの活用: フルタイムの採用だけでなく、パートタイムや派遣スタッフの活用も検討することで、一時的な人員不足を補うことができます。
  • ITツールの活用: 予約システム、電子カルテ、自動精算機などのITツールを最大限に活用し、業務効率化を図ります。

結論として

「現状スタッフで頑張れるところまで頑張りたい」というお気持ちは尊重すべきですが、長期的な視点で見ると、既存スタッフへの過度な負担はサービスの質の低下や更なる離職に繋がりかねません。

まずは、退職するスタッフの業務内容を詳細に分析し、現状のスタッフでどの程度の業務をカバーできるのか、具体的な数値目標(例えば、残業時間の増加率、患者対応時間の変化など)を設定して評価することをお勧めします。

その上で、無理のない範囲で現状維持を試みつつ、並行して採用活動を開始するのが現実的な選択肢と考えられます。早期に候補者を見つけ、選考を進めておくことで、現状スタッフの負担が限界に達する前に人員を補充できる可能性があります。

採用活動においては、教育期間中のサポート体制や既存スタッフとの連携を重視することを候補者に伝えることで、入職後の不安を軽減し、スムーズなチームへの合流を促すことができます。

最終的には、クリニックの規模、経営状況、スタッフの能力、地域の医療ニーズなどを総合的に考慮し、最適な判断を下すことが重要です。院長先生ご自身だけでなく、既存のスタッフともよく話し合い、納得のいく結論を出されることをお勧めします。