Vol.888 医療器機の導入・更新と資金調達

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クリニック奮闘記

2025.04.23

クリニック奮闘記

Vol.888 医療器機の導入・更新と資金調達

I. 医療機器導入・更新の重要性

医療機器は診療の質を維持・向上させるうえで不可欠であり、特に精密検査機器や画像診断装置、レーザー・光治療機器などは診療科に応じて常に最新化が求められる。また、診療報酬制度の変更や患者ニーズの多様化、競合との技術力競争も導入・更新を後押しする要因となる。

II. 導入・更新にかかる費用の実情

医療機器の価格帯は幅広く、

  • 一般的な心電計や自動血球計測装置:約50〜200万円

  • 超音波診断装置:約300〜1,000万円

  • レントゲンやCT装置:約1,000〜5,000万円

  • 美容医療用レーザー:約300〜2,000万円

と大きな資金負担となる。また、これらは減価償却対象であり、長期的な会計・税務処理の視点も必要である。

III. 資金調達手法の比較と活用

1. 自己資金

  • メリット:利息負担なし、返済義務なし

  • デメリット:資金拘束が強く、他投資に影響

2. 金融機関からの借入

  • 地方銀行、信用金庫、メガバンク、政策金融公庫が主な選択肢

  • 信用保証協会付き融資で実行しやすくなる

  • 設備投資融資(例:新設備導入促進資金)

  • 実例:皮膚科での500万円レーザー導入→日本政策金融公庫から7年返済・利率1.2%で調達

3. リース契約

  • メリット:初期負担が小さい、メンテナンス込み契約も可能

  • デメリット:長期的にはコスト高、途中解約不可

  • 実例:内科での超音波装置を7年リース(月額6万円)

4. 補助金・助成金の活用

  • 国や自治体の医療ICT導入、感染対策支援、設備近代化支援等が対象

  • 申請難度・タイミングに注意(専門家の活用推奨)

5. クラウドファンディング(限定的)

  • 特に地域密着型クリニックや自費診療設備導入時に有効

  • ストーリー性や社会的共感が鍵IV. 資金調達における実務上のポイント

    Ⅳ.資金調達における実務上のポイント

    事業計画書の精緻化:費用対効果、患者増加見込、競合分析の明示が重要                            収支予測の妥当性:借入返済原資となる収益構造を明確に                                      リスク分散の検討:複数の調達手段を組み合わせる柔軟性                                    金融機関との関係性強化:定期的な面談・業績報告による信頼構築 

    V. 導入後の費用管理と償却戦略

    • 会計処理(資産計上・減価償却)を税理士と連携して適切に

    • ランニングコスト(消耗品・保守費用)の平準化

    • 投資回収計画(ROI)を定期的に見直す

    VI. まとめと提言

    医療機器の導入・更新は経営の継続性と差別化の鍵となる。適切な資金調達戦略と事業計画があれば、初期コストの壁も乗り越えられる。自院の診療方針・経営方針に照らして、慎重かつ柔軟な資金計画を立案することが重要である。