2025.04.23
クリニック奮闘記
Vol.889 スタッフ間の人間関係と職場環境
少人数で運営される医療機関、特にクリニックにおいては、スタッフ間の人間関係が職場環境や業務効率、さらには患者サービスの品質に直結する。病院のように部署が細分化されないクリニックでは、受付、医療事務、看護師、医師が密接に連携して業務を遂行する必要があるため、チームワークの質がそのまま医療提供の質を左右すると言っても過言ではない。
【1】良好な人間関係を保つためのコミュニケーションの在り方
① 定期的な情報共有の仕組みを作る
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朝礼・終礼の活用:簡単な業務確認と体調や気持ちの確認
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週1回のミーティングで、課題や改善提案を出しやすくする
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カルテや申し送り事項は共有ツール(電子カルテ内コメント機能など)で記録
② 聴く姿勢を大切にする
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経営者や院長が「聞いてもらえた」とスタッフに思わせることが重要
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「批判」ではなく「受容」から入るフィードバックを徹底する
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看護師や事務スタッフが患者からの声を共有する時間を確保する
③ 感謝とねぎらいの言葉を意識的に伝える
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忙しい時ほど「ありがとう」「助かるよ」と言葉にする
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スタッフ同士でも「褒め合う文化」をつくることで相互の尊重が生まれる
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誕生日や勤務年数の節目にメッセージを渡すなどの工夫も有効
④ 立場の違いを理解し、役割を尊重する
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医師、看護師、事務スタッフなど、それぞれの業務負荷を把握し合う
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チーム医療の一環として「対等なパートナー」という意識を共有する
【2】働きやすい職場環境の作り方
① 明確な役割分担と業務の可視化
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誰が何を担当するのかを明文化し、属人化を避ける
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業務マニュアルやチェックリストの整備
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新人教育の仕組みを整えることで、新人と既存スタッフの摩擦を軽減
② 柔軟な勤務体系・休憩制度の導入
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急な家庭事情に対応できる体制(シフトの融通、早退可など)
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昼休みや休憩室の整備で「ホッとできる」時間と空間を提供する
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労働時間に対する公正な評価(時間管理、残業への配慮)
③ 評価と報酬の透明性
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頑張りが見える評価基準の提示(例:患者満足度アンケートの共有)
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成果だけでなく「姿勢」や「チーム貢献」も評価対象とする
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定期的な面談での目標共有とキャリア形成支援
④ 心理的安全性を重視する文化の育成
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失敗を責めるのではなく「気づき」に変える雰囲気づくり
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ハラスメントへの明確な対応方針の提示
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感情の「溜め込み」を防ぐ1on1ミーティングなどの仕組みづくり
まとめ
少人数のクリニックでは、「人」が最大の資産です。
円滑な人間関係と働きやすい環境は、スタッフの定着やモチベーション維持だけでなく、患者サービスの向上にも直結します。院長や経営者が「風通しのよい風土」を意識的に作り、日々の声かけや仕組みに反映させることが、何よりも重要です。
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