2025.05.14
クリニック奮闘記
Vol.896 レセプト請求代行の費用対効果とは?
クリニック経営を支える業務効率化と人材リスク対策
医療機関におけるレセプト業務は、収益を支える重要な業務のひとつです。一方で、専門性が高く、担当者の経験やスキルに依存しやすいことから、人材確保や業務継続性に課題を抱えるクリニックも少なくありません。この記事では、「レセプト請求代行(アウトソーシング)」の費用対効果を、現場のリアルな課題とあわせて検討します。
人材の確保が年々難しくなっている現状
近年、医療事務職においても人手不足が深刻化しています。特に都市部では求人倍率が高まり、経験者の採用が思うように進まないケースも増えています。仮に採用できたとしても、レセプト業務を一人で任せられるレベルまで育てるには時間とコストがかかります。
こうした状況のなか、レセプト業務を外部に委託することで、採用や教育にかかるリスクとコストを軽減することが可能です。
急な退職がもたらす経営上のリスク
経験豊富なレセプト担当者が突然退職した場合、最も影響を受けるのは収入に直結する「レセプト請求業務」です。引き継ぎが不十分なまま月末・月初を迎えると、算定漏れや返戻、請求遅延などが発生する可能性もあります。
レセプト請求代行を導入しておくことで、業務が属人的になりすぎず、一定の品質で継続される体制を構築できます。結果として、突発的な人材の変動にも柔軟に対応できる点は大きなメリットといえるでしょう。
業務の効率化と標準化の効果
多くのクリニックでは、日々の業務が多忙を極めるなかで、レセプト業務の見直しや改善にまで手が回らないことがあります。請求ミスの原因分析や算定基準のアップデートが後回しになると、収入機会の損失にもつながりかねません。
一方、レセプト請求代行では、外部の専門チームが制度の変更や査定傾向を常にウォッチしながら、標準化されたフローで処理を行います。このことにより、ミスや漏れが減少し、結果として業務全体の効率化と収益性の安定化が期待できます。
費用対効果は「金額」だけで測れない
「代行費用が月額いくらかかるのか」は確かに重要な視点です。しかし、実際の費用対効果を考えるうえでは、次のような観点もあわせて検討することが求められます。
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担当者の採用・教育にかかるコスト
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退職・欠勤時の損失リスク
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請求ミスによる未収金・査定の発生率
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担当者の精神的・肉体的負担の軽減
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院長や管理者のフォロー負担
これらを総合的に見たとき、アウトソーシングによって得られる効果は決して小さくありません。外部委託により本来の診療や患者対応に集中できる環境を整えることが、結果的にクリニック全体のパフォーマンス向上にもつながります。
まとめ:レセプト代行は「守り」と「攻め」の両面で効果あり
人材確保が難しくなっている今こそ、レセプト業務のアウトソーシングは検討に値する選択肢です。単なる「コスト」ではなく、経営の安定化、業務の標準化、人材リスクの分散といった複合的な価値をもたらします。
すぐに導入する必要はありませんが、今後の経営戦略を考えるうえで、一度立ち止まって検討してみる価値はあるのではないでしょうか。