Vol.906 新規開業クリニック必見!「新規指導」対策とカルテ記載の注意点

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クリニック奮闘記

2025.05.26

クリニック奮闘記

Vol.906 新規開業クリニック必見!「新規指導」対策とカルテ記載の注意点

【はじめに】 クリニックを新規開業した際、多くの院長先生が最初に直面する行政対応が「新規個別指導(通称:新規指導)」です。これは厚生局が新たに保険医療機関として指定したクリニックに対して行う制度で、診療報酬の算定が適正に行われているか、医師の保険診療に対する理解が十分であるかなどを確認する目的で実施されます。

当社は、レセプト請求代行(アウトソーシング)やレセプト外注サービスを通じて、数多くの医療機関の新規指導準備を支援してきました。本記事では、特に重要なポイントである「カルテ記載の注意点」として、注意すべき5つの代表的な算定項目を列挙し、次回以降でそれぞれの対応策を詳細に解説していきます。

【新規指導とは何か?】 新規指導とは、保険医療機関として指定された医療機関が、開業から半年から1年以内に厚生局から呼び出され、診療内容やカルテ、レセプトの内容を確認される制度です。この指導で問題があると判断された場合、改善指導がなされ、内容によっては再指導、個別指導に発展することもあります。

このため、新規開業後の早い段階から「保険診療のルールに則った記録と算定」を意識することが極めて重要です。レセプトは単なる請求書ではなく、カルテと連動した医療行為の根拠です。厚生局の指導担当者は、カルテとレセプトを照らし合わせ、過剰請求や記載不備、ルール違反がないかをチェックします。

【カルテ記載が重要な理由】 カルテ記載が曖昧であると、診療報酬の根拠が不十分と判断され、算定項目が否認されるリスクがあります。また、「記載していない=実施していない」と見なされるため、特に新規指導においては記載の正確性・網羅性が強く求められます。

【カルテ記載で特に注意すべき5つの算定項目】 ここでは、当社がこれまでのレセプト請求代行業務を通じて、新規指導において特に注意を要すると感じている5つの項目を挙げておきます。

① 初診料(初診時の診療録の記載漏れ) 初診料は、「初めての来院」であることを証明できる主訴、現病歴、診察所見、診断名などがカルテに適切に記載されていなければなりません。再診との区別も明確にしておく必要があります。

② 再診料(再診要件の確認不足) 再診料の算定では、「前回からの継続性」や「同一傷病の治療継続」であることを明示する記録が必要です。単なる処方希望や、診療実施のないケースでの再診算定は否認対象となります。

③ 処置(創傷処置、皮膚科的処置などの部位・程度) 処置に関しては、実施した内容が具体的かつ部位・範囲・程度まで記載されていないと、過剰請求とみなされるリスクがあります。創傷処置や皮膚切開など、皮膚科クリニックでは頻出項目です。

④ 投薬(内服・外用・頓用の使い分け、用法・日数) 投薬内容に関しては、症状に見合った薬剤選択がされているか、用法・用量・日数が適切かどうかが重要です。特に外用薬が多く出る皮膚科では、過量処方になっていないか注意が必要です。

⑤ 特定疾患療養管理料(対象疾患と指導内容の記録) 特定疾患療養管理料は、糖尿病や高血圧など慢性疾患に対する継続的な指導が必要なケースで算定されます。対象疾患が明示されていなかったり、指導内容が抽象的であると、否認されることがあります。

【まとめ】 新規指導に備えるためには、日常診療の中で正確かつ網羅的なカルテ記載を行うことが第一です。特に上記5項目は、どの診療科においても共通してチェックされやすい重要ポイントです。次回のブログ記事では、これら5項目について、より具体的な記載方法や対応策、レセプト請求代行業者としての支援内容を詳しくご紹介していきます。