2025.05.26
クリニック奮闘記
Vol.907 新規指導で必ず見直すべき5つの算定項目とは?
【はじめに】 クリニック開業後の「新規指導」では、厚生局がレセプト請求の適正性を確認するため、特定の算定項目に焦点を当ててカルテ記載の妥当性や整合性を厳しくチェックします。特に、日常的に多く算定される5つの項目は、必ず確認対象になります。
この記事では、以下の5項目について、記載漏れ・不備を防ぐための具体的な対応策とカルテ記載のコツを紹介します。
【対象となる5つの主要算定項目】
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初診料
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再診料
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処置(創傷処置、皮膚切開など)
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投薬(内服薬・外用薬の処方)
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特定疾患療養管理料
【1. 初診料の対応策と記載のポイント】
■主な指摘内容: ・「初診」の定義を満たさず、再診とすべき症例で初診料を算定している。 ・紹介状がない場合や過去の受診歴がある患者への誤算定。
■対応策: ・過去の受診歴があるかを受付で確認し、電子カルテでも前回受診日を参照。 ・初診に該当するのは「症状の異なる新たな受診」「6か月以上空いた再受診」など、明確な基準に基づく判断を徹底。
■カルテ記載例: 「主訴:○○のため初診。初回受診、紹介状なし。前回受診は6ヶ月以上前であり、新たな主訴であるため初診料算定。」
【2. 再診料の対応策と記載のポイント】
■主な指摘内容: ・患者が来院していないにもかかわらず再診料を請求。 ・病状の経過記載が乏しく、再診としての要件を満たしていない。
■対応策: ・対面診療の事実を明記。電話再診との区別を明確に。 ・再診の根拠となる経過観察・治療継続の記載を必ず行う。
■カルテ記載例: 「本日○○について再診。前回処方薬の効果を確認、症状軽減あり。継続加療の方針。」
【3. 処置の対応策と記載のポイント】
■主な指摘内容: ・処置名と実施内容の記録が一致しない。 ・簡単な処置でも処置名の明記がなく、算定根拠が曖昧。
■対応策: ・実施した処置名、部位、内容、使用薬剤を記載。 ・必ず「処置」や「施行」の文言を含める。
■カルテ記載例: 「右前腕擦過傷に対し、生理食塩水で洗浄後、ゲンタシン塗布、ガーゼ被覆処置施行。」
【4. 投薬の対応策と記載のポイント】
■主な指摘内容: ・症状や診断名との関連性が不明な処方。 ・漫然と同じ薬剤を処方し続けている。
■対応策: ・処方薬と診断名・症状の紐付けを記載。 ・薬剤選択の理由(副作用対策、効果判定)も可能な範囲で明記。
■カルテ記載例: 「湿疹悪化のため、リンデロンVG軟膏を1日2回塗布処方。過去に副作用なし、効果良好のため継続。」
【5. 特定疾患療養管理料の対応策と記載のポイント】
■主な指摘内容: ・対象疾患に該当しない患者に算定している。 ・療養上の指導内容が不明確。
■対応策: ・対象となる生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症等)の確定診断名を記載。 ・食事・運動・服薬指導の具体的な内容を記録。
■カルテ記載例: 「糖尿病にて特定疾患療養管理料算定。HbA1c7.5%。食事内容の改善指導実施。軽い有酸素運動の継続を指導。薬剤調整は次回検討。」
【まとめ】
新規指導で重点的に確認されるこれら5項目は、日常診療の中でよく使われるものだからこそ、細かな記載が求められます。カルテには「何をしたのか」「なぜそれが必要だったのか」を明確に記すことで、算定の正当性を示すことができます。
当社では、こうしたカルテ記載の適正化やレセプト請求代行(アウトソーシング)を通じて、保険請求の適正化をサポートしております。新規指導対策やカルテ整備にお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。