2025.06.02
クリニック奮闘記
Vol.912 事業承継(M&A)成功の鍵は「レセプト業務の可視化」にあり
● 医療機関M&Aが注目される背景
少子高齢化とともに、地域医療を支えるクリニックの後継者不在が深刻な問題となっています。その解決策として注目されているのが「クリニックM&A(事業承継)」です。第三者承継によって地域医療を守りながら、院長のリタイア後も安定した医療提供が可能になります。
しかし、事業承継を円滑に進めるためには、財務諸表や診療実績といった定量情報だけでなく、「業務の見える化」が不可欠です。特にレセプト業務は属人的になりやすく、承継のボトルネックとなるケースもあります。
● 承継リスクとなる「属人化」されたレセプト業務
多くのクリニックでは、レセプト業務を特定の事務スタッフが担っており、引き継ぎ資料が残されていないケースが少なくありません。その結果、M&A後にスタッフが辞めてしまい、レセプト業務が機能しなくなるというリスクが顕在化します。
事業承継時には、誰が、どの業務を、どうやって行っているのか、明文化・標準化されていないと、買い手にとっては不透明なリスクとなり、買収価格や条件にも悪影響を及ぼします。
● アウトソーシングで「業務の標準化」と「可視化」を実現
当社のレセプト請求代行サービスでは、既存スタッフの業務内容を可視化した上で、段階的な引き継ぎをサポートしています。具体的には、現場ヒアリングとレセプトデータの診断を通じて、改善点や潜在的な問題点を洗い出し、買い手側にもわかりやすいレポートを提供します。
承継後も、レセプト業務を安定的に外部委託することで、診療体制に影響を与えることなく円滑な経営移行が可能になります。実際に、当社が支援した事業承継では、買収側の経営不安を解消する一因となり、スムーズな契約成立につながったケースもあります。
● 【図表】事業承継におけるレセプト業務の課題と解決策
課題 | 従来の運営 | 当社支援による改善 |
属人化 | ベテラン事務員に依存 | 業務フローの文書化・代行化 |
業務負荷 | スタッフの負担が大きい | 外部化による負荷軽減 |
買収リスクの見える化 | 定量的な情報のみ | レセプト実態の分析・可視化 |
承継後の運営安定性 | 担当者退職で業務停滞 |
外注継続によりリスクを最小化 |
● M&Aを成功に導く「業務体制の整備」
事業承継は単なるオーナー変更ではなく、業務・人材・情報の承継を伴う複雑なプロセスです。その中でも、レセプト業務の整備は経営の安定性を確保するうえで極めて重要な要素です。
当社では、M&A前のレセプト業務診断から、承継後のサポート体制の構築まで、一貫して支援可能です。事業承継の成功を支えるインフラとして、ぜひご活用ください。