Vol.929 在宅医療を導入した内科クリニックの個別指導

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クリニック奮闘記

2025.06.24

クリニック奮闘記

Vol.929 在宅医療を導入した内科クリニックの個別指導

高齢化が進む地域で在宅医療を開始した内科クリニックが、保険請求における不備を指摘され、厚生局から個別指導を受けました。本事例では、在宅時医学総合管理料(在総管)や訪問診療料の算定ミスに関する指摘を中心に、改善内容とその効果を紹介します。

背景と経緯

当クリニックは開業8年目。従来の外来中心から高齢患者のニーズに応じて、在宅医療の提供を開始しました。新規患者の増加とともに、訪問診療の件数が急増。月間レセプト請求数は5,000件(外来と訪問診療の合計件数)を超えるようになりました。

しかし、在宅医療の経験が乏しかったことから、レセプトの記載や施設基準の理解が不十分で、開始から1年以内に厚生局より個別指導の対象とされました。

指摘された主な内容

1. 在宅時医学総合管理料(在総管)の算定要件未充足

医師が訪問し、24時間対応体制を敷いたうえで、一定回数の診療と管理計画の作成が求められる在総管ですが、以下の点で要件を満たしていませんでした:

  • 管理計画書の記載が形式的で、個別性に欠ける

  • 同意署名の未取得

  • 24時間連絡体制の説明記録が不十分

2. 訪問診療料の不適切な算定

定期的な訪問ではない単発訪問に対し、訪問診療料が請求されていた例が多数確認されました。臨時対応は往診料の対象であり、請求の根拠が不明確なケースが問題視されました。

3. 記録・指示書類の保管不備

訪問看護指示書、訪問診療計画書の保管が不十分であり、患者ファイルに散逸しているケースが複数ありました。施設基準の要件として書類管理は厳密に求められるため、指導対象となりました。

改善策

1. レセプト請求代行の導入と記録整備

スタッフの知識不足を補うため、弊社によるレセプト作成サービスを活用し、在宅関連の診療報酬について専門スタッフによる点検体制を導入。記録内容と請求内容の整合性が取れるよう、指示書・管理計画書の記載テンプレートを新たに作成しました。

2. 施設基準・届出の再確認

施設基準に沿った管理体制の見直しを実施。届出内容と実態のズレがないよう、厚労省通知を基に院内マニュアルを作成し、定期的にチェックリストを用いて自己点検を行う体制を構築しました。

3. スタッフ教育と研修

在宅医療特有の保険制度に関する知識が不足していたため、在宅医療に強い医師・医療事務を講師として招聘し、医師・看護師・事務スタッフ向けにレセプト研修を実施しました。

成果と展望

改善後、返戻率は6.5%から1.2%へと大幅に減少。在総管の要件を満たした記録が整い、次年度にも個別指導がありましたが「経過観察のみ」との通知で済みました。また、スタッフのレセプト精度が安定し、在宅医療の提供体制もより信頼性の高いものになりました。

まとめ

在宅医療の導入は、地域医療にとって大きな意義がありますが、同時に診療報酬請求の複雑さも伴います。「レセプト請求代行」「レセプト外注」を適切に活用し、継続的に制度理解と記録の精度を高める必要があります。

弊社(株式会社メディカルタクト)では、在宅医療を提供するクリニック様に対しても、「レセプト精度」を軸としたて、スタッフ教育から包括的支援を行っています。