Vol.944 教育プログラムの構成

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クリニック奮闘記

2025.07.14

クリニック奮闘記

Vol.944 教育プログラムの構成

■はじめに 医療事務スタッフに対するレセプト業務の教育は、単発で終わるべきものではありません。体系的かつ段階的なトレーニングが必要です。本記事では、実際のクリニック現場で効果的に活用できる教育プログラムを、時間軸に沿って提案します。

■教育プログラム設計の基本方針

  1. 「理解→定着→応用→改善」という4段階ステップを意識する

  2. 業務の繁忙とスタッフの習熟度を加味して現実的な負荷設計とする

  3. 院内外のリソースを組み合わせて継続可能性を確保する

■月次トレーニング(基礎知識の理解・定着) ・月1回の院内勉強会を開催(テーマ例:算定ルール、加算、特定疾患など) ・内容は実際のレセプト返戻事例や算定漏れ事例を用いて学習 ・動画教材やeラーニングを導入し、参加できないスタッフにも学習機会を提供 ・理解度チェックテストの実施(10分程度のミニテスト)

■3ヶ月プログラム(基礎から応用へ) ・1ヶ月目:診療報酬体系と点数表の基本理解 ・2ヶ月目:レセプト記載ルールの基本、診療行為と点数の紐付け ・3ヶ月目:疑義解釈、算定可能か否かの判断訓練 ・ロールプレイやケーススタディを活用し、判断力を養う ・各月の最後に小テスト+フィードバックを実施

■6ヶ月プログラム(実践的演習と評価) ・4~6ヶ月目は、実レセプトの点検・添削指導を行う ・ベテランによるOJT形式の伴走指導 ・匿名加工した返戻レセプトを用いた添削演習 ・個別評価シートにより成長度を数値化(可視化) ・修得スキルに応じた業務の割り振りも実施

■1年間プログラム(チーム運用とマネジメント) ・年間通じて学習内容を蓄積したポートフォリオを作成 ・診療報酬改定(年2回)に合わせた集中研修の実施 ・中堅スタッフの育成(講師役やチェック者としての育成) ・院内マニュアルの改訂を主導するワークショップ ・新人教育への関与を通じてリーダーシップ育成

■継続的研修の工夫 ・eラーニング(診療報酬算定研修)や外部セミナーの活用 ・月1回の「レセプト情報共有ミーティング」 ・診療科別のトピック解説資料を作成・蓄積 ・年1回の「スタッフ間教育発表会」で成果共有 ・SNSやSlackなどを使った疑問解決チャットの整備

■教育内容の可視化と改善 ・教育進捗の見える化(Googleスプレッドシートやアプリ) ・スタッフごとの学習履歴を記録し、評価・賞与にも連動 ・アンケートによるフィードバックでプログラムのブラッシュアップ

■まとめ クリニックの規模やスタッフ構成に応じた柔軟なプログラム設計が、教育の質と継続性を左右します。「現場に負担をかけない」「成果が可視化できる」「院長が関与する」この3点を軸に、段階的かつ効果的なトレーニング体制を築いていくことが、強い医療事務チームの育成につながります。