Vol.950 評価制度を設けないクリニックのための現実的アプローチ

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クリニック奮闘記

2025.07.22

クリニック奮闘記

Vol.950 評価制度を設けないクリニックのための現実的アプローチ

「評価制度は大事と分かっていても、現実的には導入が難しい」----こうした声は小規模クリニックの現場でよく耳にします。院長が日々診療に追われ、スタッフの人数も限られた中で、手間のかかる制度運用に踏み切れないのは当然のことです。

しかし評価制度がなくても、納得感のある給与設定は十分に可能です。本記事では、評価制度を導入しない場合の給与設計方法について、実例を交えながらご紹介します。


1. なぜ評価制度が導入されないのか?

クリニック経営者が評価制度を設けない理由には、以下のような実情があります。

  • スタッフ数が少ないため制度化が不要と感じる

  • 院長がすべてのスタッフの業務内容を把握しており、直接評価できる

  • 制度を導入するほどの時間・人手がない

  • スタッフとの信頼関係があり、制度に頼らなくても運営できている

これらは一見合理的に思えますが、属人的な評価や感覚的な給与決定は、スタッフにとって不安材料になりやすいのも事実です。


2. 評価制度がなくても、給与設定に"ルール"は必要

評価制度がない場合でも、給与や昇給の判断基準を明文化することで、スタッフの納得感を高めることができます。

ルール設計のポイント:

  • 明確な昇給基準(月給○○円アップなど)

  • 勤続年数ごとの昇給モデル(例:2年ごとに3,000円昇給)

  • 手当による補完(役割、資格、貢献に応じた加算)

  • 一律昇給ではなく、職務内容の変化や成果によってメリハリをつける

このような仕組みを「簡易評価モデル」として整備することで、制度とまではいかなくても公平性を確保することが可能です。


3. 給与設計の基本構造と相場を知る

医療スタッフの平均的な給与相場(関西エリア・都市部の例):

職種月給目安賞与(年)
看護師 26〜32万円 2〜3ヶ月分
医療事務 18〜24万円 1.5〜2.5ヶ月分
リハ助手等 17〜22万円 1.5〜2ヶ月分

※出典:自社支援実績およびCLINIC JOB MARKET調査

地域や規模により異なりますが、上記は一般的な水準の一例です。


4. 賞与の設計:業績連動型と固定型の選択

固定賞与:

  • 「年2回、基本給の○ヶ月分」とあらかじめ決める方式

  • 安定感はあるが、業績が悪化しても支給せざるを得ないリスクがある

業績連動型賞与:

  • 月次収益、年間黒字額などをもとに賞与原資を算出

  • 個人評価がない分、「クリニック全体の頑張りに応じた支給」が可能

例:年間利益500万円 → スタッフに200万円分を分配(人数比・勤続年数などで按分)

経営状態の見える化賞与額の論理性が、スタッフの信頼獲得につながります。


5. 手当設計で"成果"を反映する

評価制度がない分、手当制度をうまく使うことで「貢献度への還元」を実現することができます。

主な手当の種類:

  • 役割手当:リーダー、レセプト担当などの職務責任に応じて支給

  • 資格手当:診療報酬請求事務能力認定試験などの取得者

  • 勤続手当:3年・5年・10年と節目で加算

  • 多機能手当:複数の業務を担えるスタッフに支給(例:受付+会計+レセプト)

ポイントは、"評価"という名目を避けつつも、 「働きぶり」が給与に反映される構造をつくることです。


6. 給与設定の透明性が"信頼"を生む

制度があってもなくても、給与は最もデリケートなテーマです。「何となく昇給」「言わなければ変わらない」では不信感が蓄積されます。

透明性を担保する方法:

  • 昇給タイミング・金額の目安を就業規則や内規に明記

  • 入職時に「このような基準で昇給・賞与があります」と説明

  • 年1回、給与改定に関する簡単な通知を行う(フィードバックがない代わりに)


まとめ:制度がなくても、"構造"で納得感を

小規模クリニックにおいて評価制度を導入しない選択は、決して間違いではありません。しかし、その代わりに、給与に関する透明な設計と納得感あるルールを設けることが極めて重要です。