Clinic Diary
クリニック奮闘記
Clinic Diary
クリニック奮闘記
「評価制度は大事と分かっていても、現実的には導入が難しい」----こうした声は小規模クリニックの現場でよく耳にします。院長が日々診療に追われ、スタッフの人数も限られた中で、手間のかかる制度運用に踏み切れないのは当然のことです。
しかし評価制度がなくても、納得感のある給与設定は十分に可能です。本記事では、評価制度を導入しない場合の給与設計方法について、実例を交えながらご紹介します。
クリニック経営者が評価制度を設けない理由には、以下のような実情があります。
スタッフ数が少ないため制度化が不要と感じる
院長がすべてのスタッフの業務内容を把握しており、直接評価できる
制度を導入するほどの時間・人手がない
スタッフとの信頼関係があり、制度に頼らなくても運営できている
これらは一見合理的に思えますが、属人的な評価や感覚的な給与決定は、スタッフにとって不安材料になりやすいのも事実です。
評価制度がない場合でも、給与や昇給の判断基準を明文化することで、スタッフの納得感を高めることができます。
明確な昇給基準(月給○○円アップなど)
勤続年数ごとの昇給モデル(例:2年ごとに3,000円昇給)
手当による補完(役割、資格、貢献に応じた加算)
一律昇給ではなく、職務内容の変化や成果によってメリハリをつける
このような仕組みを「簡易評価モデル」として整備することで、制度とまではいかなくても公平性を確保することが可能です。
| 職種 | 月給目安 | 賞与(年) |
|---|---|---|
| 看護師 | 26〜32万円 | 2〜3ヶ月分 |
| 医療事務 | 18〜24万円 | 1.5〜2.5ヶ月分 |
| リハ助手等 | 17〜22万円 | 1.5〜2ヶ月分 |
※出典:自社支援実績およびCLINIC JOB MARKET調査
地域や規模により異なりますが、上記は一般的な水準の一例です。
「年2回、基本給の○ヶ月分」とあらかじめ決める方式
安定感はあるが、業績が悪化しても支給せざるを得ないリスクがある
月次収益、年間黒字額などをもとに賞与原資を算出
個人評価がない分、「クリニック全体の頑張りに応じた支給」が可能
例:年間利益500万円 → スタッフに200万円分を分配(人数比・勤続年数などで按分)
経営状態の見える化と賞与額の論理性が、スタッフの信頼獲得につながります。
評価制度がない分、手当制度をうまく使うことで「貢献度への還元」を実現することができます。
役割手当:リーダー、レセプト担当などの職務責任に応じて支給
資格手当:診療報酬請求事務能力認定試験などの取得者
勤続手当:3年・5年・10年と節目で加算
多機能手当:複数の業務を担えるスタッフに支給(例:受付+会計+レセプト)
ポイントは、"評価"という名目を避けつつも、 「働きぶり」が給与に反映される構造をつくることです。
制度があってもなくても、給与は最もデリケートなテーマです。「何となく昇給」「言わなければ変わらない」では不信感が蓄積されます。
昇給タイミング・金額の目安を就業規則や内規に明記
入職時に「このような基準で昇給・賞与があります」と説明
年1回、給与改定に関する簡単な通知を行う(フィードバックがない代わりに)
小規模クリニックにおいて評価制度を導入しない選択は、決して間違いではありません。しかし、その代わりに、給与に関する透明な設計と納得感あるルールを設けることが極めて重要です。