Vol.969 診療時間・診療効率の最適化(Ⅰ)

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クリニック奮闘記

2025.08.18

クリニック奮闘記

Vol.969 診療時間・診療効率の最適化(Ⅰ)

「午前中だけで、もうクタクタだよ。」
そう話してくださったのは、ある整形外科クリニックの副院長先生でした。患者数は増えているのに収益は伸びず、スタッフの疲弊も目立ってきているというのです。待合室はいつも混雑し、予約時間を大幅に超えて診察が押すこともしばしば。患者さんからは「待ち時間が長すぎる」との声も寄せられ、結果的に再診率まで下がり始めていました。

「もっと効率よく診療できれば...」と思いながらも、業務の流れを見直す余裕すらない。そんな悪循環に陥っていたのです。


診療効率が低いと起こること

診療時間や診療効率が最適化されていないと、次のような問題が生じます。

  1. 患者満足度の低下
     待ち時間が長い、説明が不十分、などの不満から再診率が下がる。

  2. スタッフの負担増
     業務の無駄が多いため、残業や疲労が蓄積し、離職リスクが高まる。

  3. 収益性の低下
     患者数は確保できても、診療単価や再診率が伸びず、結果として収益が頭打ちになる。

こうした問題は、単に「もっと頑張る」では解決できません。業務の効率化、つまり診療プロセス全体の見直しが必要です。


内視鏡専門クリニックの事例

ある内視鏡専門クリニックでは、内視鏡検査の前処置から検査、結果説明までに非常に時間がかかり、1日の検査件数が伸び悩んでいました。原因を分析すると、以下のような課題が浮かび上がりました。

  • 前処置の説明を看護師と医師が重複して行っていた

  • 内視鏡検査後の結果説明が当日ではなく別日に分かれることが多く、効率が悪い

  • レセプト請求のチェックを医師自ら行っており、診療後の事務作業に時間を取られていた

このクリニックでは、フローを整理することで改善を図りました。前処置説明を動画やパンフレットで統一し、看護師が中心に対応するように変更。また、検査当日に結果説明を行えるよう、検査枠を見直しました。さらに、**レセプト外注(レセプトアウトソーシング)**を導入したことで、医師がレセプト精度を心配して毎日確認する必要がなくなり、診療時間を患者対応に集中できるようになりました。

結果として、1日の検査件数は20%増加し、待ち時間も短縮。患者の満足度調査でも「説明がスムーズになった」「待ち時間が減った」と高評価を得られるようになりました。


整形外科クリニックの事例

整形外科では、診療効率が落ちやすい要因の一つが「リハビリの待ち時間」です。あるクリニックでは、患者が診察を終えてからリハビリに回るまでに30分以上待たされることもあり、不満が積み重なっていました。さらに、リハビリの記録とレセプト請求が連動していないため、事務スタッフが手作業で確認を行っており、大きな時間的ロスが発生していました。

このクリニックでは、予約システムを導入し、診察とリハビリの時間を連動させるよう改善しました。また、リハビリ記録を電子カルテと一体化させ、レセプト請求の自動化を進めました。加えて、複雑な算定ルールを外部のレセプト専門スタッフに委託(レセプトアウトソーシング)したことで、内部チェックの時間を削減。

改善後は、リハビリ待ち時間が平均15分短縮され、患者満足度も向上。スタッフの残業時間は月30時間削減され、結果的に離職率の低下にもつながりました。


レセプト業務が効率化を阻む壁

診療効率を考える際に見落とされがちなのが、レセプト業務の非効率さです。
レセプト精度を高めるために医師やスタッフが何度も確認作業を行い、その時間が本来の診療時間を圧迫する。さらに、請求ミスや減点が発生すると再チェックが必要となり、疲労感とストレスが蓄積します。

これを解決する最もシンプルな方法が、**レセプト外注(レセプトアウトソーシング)**です。専門家に任せることで請求精度が高まり、院内スタッフの業務負担が軽減されます。その結果、診療時間を本来の「患者対応」に充てることができ、診療効率が飛躍的に改善するのです。


成果と希望、そして次のテーマへ

診療効率を改善することは、単に「時間を短縮する」だけではなく、患者満足度を高め、スタッフを守り、収益を底上げする大きな意味を持ちます。内視鏡専門クリニックのようにフローを整理して検査件数を増やすこと、整形外科のようにリハビリ待ち時間を短縮して満足度を高めること、その背景には常に「正確で効率的なレセプト請求」が存在します。

院長や副院長が経営者として取り組むべきは、「診療の質を落とさず効率を高める仕組みづくり」です。その第一歩が、レセプト業務の効率化であり、外注化による専門的サポートの活用です。

診療効率が上がれば、次に見えてくる課題は「患者数の増減リスク」への対応です。効率化で浮いたリソースをどう活かすか、その戦略が次の収益改善のカギとなるでしょう。