Vol.971 整形外科クリニックにおける診療単価向上の工夫

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クリニック奮闘記

2025.08.18

クリニック奮闘記

Vol.971 整形外科クリニックにおける診療単価向上の工夫

「患者数は多いのに、収益がなかなか上がらない」
これは整形外科クリニックの先生方からよく耳にする悩みです。特に外来リハビリを中心に診療している場合、1人あたりの単価がどうしても限られてしまい、診療報酬の構造上、診療単価が頭打ちになる傾向があります。

ある整形外科の先生は、開業当初から地域での信頼も厚く、外来患者数は順調に増加していました。しかし、蓋を開けてみれば「多くの患者さんを診ても、収益が追いついていかない」という状況。スタッフも疲弊し、院内は常に慌ただしく、経営的にも不安が募っていました。

実際にレセプトを確認すると、単価の伸び悩みの理由が見えてきます。理学療法士によるリハビリはしっかり行われているものの、診療報酬の請求が十分に活用されていなかったのです。算定ルールが複雑で、**「加算できるものを見落としている」**ケースや、リハビリの初期評価・再評価のタイミングを逃してしまうケースも多くありました。

レセプト精度が診療単価に直結する

ここで重要になるのが、レセプト精度の向上です。診療報酬は「診療行為を正しく算定すること」で初めて反映されます。実際にこの整形外科クリニックでは、レセプト請求を見直した結果、見逃していた加算や適切な算定が可能になり、1件あたりの単価が向上しました。

たとえば、整形外科では骨粗鬆症マネジメントや運動器機能評価といった診療報酬項目があります。これらは忙しい外来診療の中で見落とされやすいのですが、適切に算定すれば単価の底上げにつながります。

ここでレセプト外注(レセプトアウトソーシング)が役立ちます。専門的な知識を持った外部スタッフがレセプト点検を行うことで、算定漏れを防ぎ、精度を安定させることができるのです。経営者としては「外部に任せるのは不安」と感じる部分もあるかもしれませんが、医療事務スタッフの業務負担を軽減しつつ、診療単価の改善に直結する点は大きなメリットです。

診療単価を意識した診療設計

もうひとつ大切なのは、「診療単価を意識した診療フローの設計」です。
この整形外科では、外来診察からリハビリ紹介までの流れを見直し、初期評価・経過観察・再評価を適切に組み込むようにしました。その結果、患者さんへの説明も明確になり、「治療が見える化」されたことで継続率も高まりました。

診療単価を上げるための工夫は、単に点数を追いかけることではなく、患者さんに適切な診療を提供し、その診療が正しく報酬として反映されるよう仕組みを整えることにあります。

成果と希望

この整形外科クリニックでは、レセプト精度を高め、診療設計を改善したことで、1件あたりの診療単価が大きく向上しました。同時に、患者さんへの説明責任を果たしながら、治療の質を高めることも実現できたのです。

「診療単価の向上」というテーマは、単に収益を増やすためのものではありません。診療の質を守りながら、経営の安定を図り、スタッフの働き方にもゆとりをもたらすことにつながります。

そして何より、こうした改善の取り組みは、やがて「診療効率の最適化」や「患者数リスクのコントロール」といった次の課題解決へとつながっていきます。