Clinic Diary
クリニック奮闘記
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クリニック奮闘記
2024年度は病院の73.8%が赤字でした。赤字の原因は一つではなく、改善策も一つでは足りません。レセプト請求の精度、経費、診療体制と地域連携、中長期の戦略を同時に見直す方法を解説します。
四病院団体協議会が2025年10月に公表した病院経営定期調査の中間報告では、2024年度に赤字となった病院は73.8%で、前年度から3.9ポイント増えました(四病院団体協議会の要望書)。物価と賃金の上昇に、診療報酬が追いついていないことが大きな要因です。
赤字の原因は、患者数の減少、人件費や経費の増加、地域の医療環境の変化など、いくつも重なっています。しかも互いに影響し合うため、どれか一つを直しても十分な効果は出ません。
レセプトの精度向上は、比較的早く効果が出る施策です。診療内容が正しく算定されているか、請求漏れや査定がないかを点検し、部門の間で情報を共有する仕組みを整えます。毎月の点検を習慣にすれば、取りこぼしを継続的に減らせます。
ただし、レセプトの改善だけで赤字が解消するわけではありません。他の施策と組み合わせることが前提です。
経費の削減は古典的な手法ですが、やり方を誤ると医療の質を損ないます。医薬品や診療材料の過度な値引き要求は、取引先との関係や供給の安定を損なうおそれもあります。消耗品や委託費、光熱費など、質を保ったまま無駄を減らせる費目から手をつけてください。
都市部では競争が激しいため、利益率の低い診療科を整理し、専門性を高めることで選ばれる理由を明確にします。地方では、診療所や介護施設との連携を強め、患者さんの流出を防ぐことが重要です。高度な医療は病院が担い、慢性疾患のフォローは地域の診療所に任せる役割分担も、収益の効率を高めます。
短期の改善だけでは、赤字からの脱却は難しいのが現実です。医師や看護師の採用・定着、ICTによる業務負担の軽減、健診や在宅医療など新しい収益源の確保を、数年単位の計画として進める必要があります。
赤字病院の立て直しは、一つの施策では成り立ちません。レセプトの精度、経費、診療体制、中長期の戦略を、並行して進めてください。最初の一歩としては、自院の請求に取りこぼしがないかを数字で確かめることが、最も早く現状をつかむ方法です。
その他の記事: 赤字病院への公的支援は必要か?
監修:柳 尚信(株式会社メディカルタクト 代表取締役)
会計事務所系コンサルティング会社で医療機関の経営支援に携わり、レセプト請求代行の取引実績は600件超。地区医師会や製薬会社でのセミナー講師、日経メディカルオンラインでのコラム連載『開業の落とし穴』『診療所駆け込み寺』を務める。著書『クリニック経営はレセプトが9割』(2021年、幻冬舎)。
自院の請求の精度を確かめたい方へ:レセプト精度調査