vol.1015 クリニックM&Aで見逃せない「本当の収益構造」―レセプト精査が明かす経営の実態

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クリニック奮闘記

2025.10.20

クリニック奮闘記

vol.1015 クリニックM&Aで見逃せない「本当の収益構造」―レセプト精査が明かす経営の実態

クリニックのM&A(事業承継や売却)において、財務諸表だけで経営状況を判断することはリスクが伴います。決算書上では利益が安定しているように見えても、実際の収益は診療報酬請求の正確性や返戻・減点の状況によって大きく左右されます。

ここで重要になるのが、レセプトデータの精査です。レセプトは、診療報酬請求の明細書であり、クリニックの収益構造や潜在リスクを可視化する最も重要な資料の一つです。M&Aにおいては、レセプトを精査することで「本当の収益性」を把握することが可能となります。


レセプト精査で明らかになる収益の実態

  1. 診療科目・処置別の収益偏り

クリニックごとに得意とする診療科目や処置は異なります。レセプトデータを分析することで、売上がどの科目に依存しているか、特定の診療に収益が偏っているかを確認できます。

例えば、皮膚科クリニックで一部の高額処置に収益が偏っている場合、報酬改定や診療単価の見直しで収益構造が大きく変動するリスクがあります。財務諸表だけでは、こうした構造的リスクは見えません。

  1. 返戻・減点の頻度と影響

レセプト精査では、過去の返戻や減点のデータも可視化できます。返戻率が高いクリニックは、請求の正確性に問題がある可能性があります。M&A後に返戻対応に追われると、キャッシュフローが圧迫され、経営計画に影響を及ぼすことがあります。

  1. 請求漏れによる潜在収益の把握

診療を行っていても請求が漏れているケースは少なくありません。レセプトと診療記録を突合することで、未請求分の潜在的な収益を把握でき、M&Aの価値評価に直結します。


ケーススタディ:レセプト精査による価値再評価

あるクリニックM&Aの事例では、決算書上の年間売上は1億円でした。しかし、レセプト精査を行ったところ、返戻率が高く、請求漏れも多発していたため、実際の収益は約8000万円に過ぎないことが判明しました。

この結果、買い手は契約条件を見直し、M&A後の運営計画にも返戻対応や業務改善計画を組み込みました。もし財務諸表だけで判断していれば、想定外の損失が発生する可能性がありました。


レセプト精査がもたらすM&A上のメリット

  1. 正確な収益評価が可能

レセプトデータを精査することで、帳簿上の売上だけでなく、実際に回収可能な診療報酬を正確に把握できます。これにより、M&A価格の妥当性を客観的に評価できます。

  1. リスクマネジメントが可能

返戻・減点リスクや請求漏れを事前に把握できるため、M&A後のトラブルを未然に防ぐことができます。

  1. 経営改善施策の提案が可能

レセプト精査の結果をもとに、人員配置の最適化、請求プロセスの改善、診療報酬改定への対応策を立案できます。これにより、買収後の経営統合がスムーズになります。


当社メディカルタクトのレセプト精査サービス

当社では、単なるレセプト請求代行に留まらず、M&Aにおける収益精査を支援しています。具体的には以下のサービスを提供しています。

  • 診療報酬偏りの分析:科目・処置別の収益を可視化し、リスク箇所を特定。

  • 返戻・減点リスクの抽出:過去データから問題のある請求を特定。

  • 請求漏れチェック:診療記録と突合し、潜在収益を明確化。

これにより、買い手は安心してM&A契約に臨むことができ、売り手は正確な請求情報を提示することで信頼度を向上できます。


まとめ

クリニックM&Aにおいて、財務諸表だけで収益性を判断するのは危険です。レセプト精査を行うことで、診療報酬の偏りや返戻・減点リスク、請求漏れなど、財務では見えない「本当の収益構造」を明らかにできます。

M&Aを成功させるためには、財務データ+レセプト精査による総合的評価が不可欠です。当社メディカルタクトのサービスを活用すれば、M&A前の精査から経営改善まで一貫したサポートが可能です。