vol.1023 クリニックスタッフマネジメントと経営参画 ―チーム力強化戦略―

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クリニック奮闘記

2025.10.28

クリニック奮闘記

vol.1023 クリニックスタッフマネジメントと経営参画 ―チーム力強化戦略―

はじめに:スタッフが経営参画する時代

クリニック経営において、診療報酬改定や人件費・固定費増加への対応は避けられません。
しかし、これらの課題は経営者だけで解決できるものではなく、スタッフの協力と参画が不可欠です。

内科・整形外科クリニックでは、医師・看護師・リハビリスタッフ・事務スタッフが協力し、外来・在宅・地域連携を円滑に運営することが、経営の持続性に直結します。
本稿では、スタッフマネジメントと経営参画を通じたチーム力強化の方法を整理します。


1.スタッフ参画型経営の重要性

スタッフ参画型経営とは、スタッフ一人ひとりが経営課題や目標を理解し、自分の業務が全体にどう貢献するかを意識する状態を指します。

これにより、以下のメリットが得られます。

  • モチベーション向上と離職率低下

  • 業務効率化・改善提案の増加

  • 患者満足度向上による収益安定化

  • 診療報酬加算取得やDX活用の効果最大化

経営に参画することで、スタッフは「単なる業務遂行者」ではなく、クリニック経営の主体となります。


2.内科クリニックでの実践例

チーム会議による目標共有

内科クリニックでは、慢性疾患患者や高齢患者のフォローアップ業務が複雑化しています。
ここでスタッフが参画することで、外来・在宅・訪問リハの調整や、業務効率化の提案が活発化します。

実例:

  • 月初にチーム会議を開催

  • 診療報酬改定による加算要件の共有

  • 外来・在宅・訪問リハの目標患者数や稼働率を全スタッフで確認

  • スタッフから改善案を募り、業務フローを再構築

結果、スタッフは「自分の提案が経営に反映される」と実感でき、業務改善への意欲が向上します。

DX・タスクシフトとの連携

  • 看護師は問診やバイタル測定をタブレットで入力

  • 事務スタッフは自動化されたレセプト点検を担当

  • 医師は診療・在宅フォローに集中

スタッフが自分の役割を理解し、DXで効率化された業務を担うことが経営参画につながります。


3.整形外科クリニックでの実践例

整形外科クリニックでは、リハビリスタッフや物療スタッフが多く、外来・訪問リハ・通所リハの連携が課題です。

実例:

  • 外来リハ・訪問リハ・オンライン運動指導の目標患者数を共有

  • スタッフが患者データを電子カルテで更新し、経営者が収益状況を可視化

  • スタッフから「訪問順序の改善」「オンライン指導の工夫」など具体的提案を実施

結果、スタッフが「経営と現場のつながり」を理解し、業務効率化と収益改善に主体的に関与できるようになります。


4.スタッフマネジメントのポイント

  1. 目標の可視化
    外来患者数、在宅加算取得状況、業務稼働率など、経営指標をスタッフにわかりやすく共有。

  2. 業務改善のフィードバックループ
    スタッフの改善提案を反映し、結果を共有することでモチベーションを維持。

  3. 役割分担の明確化
    DXやタスクシフトを活用し、医師・看護師・事務の業務負荷を最適化。

  4. 教育・研修の継続
    在宅医療や地域包括ケア、DX活用など新たな業務に対応するための教育を定期的に実施。

  5. チーム医療の文化醸成
    個々の業務が患者アウトカム・経営成果につながることを理解させる。


5.経営参画型スタッフ育成のメリット

  • 離職率低下:経営への理解と達成感が、スタッフ定着に寄与

  • 業務効率化:現場の改善提案が反映され、無駄作業が削減

  • 加算取得率向上:在宅医療や多職種連携加算など、スタッフの協力で取りこぼしを防止

  • 患者満足度向上:チーム全体が患者中心の視点で動くことで、外来・在宅の質が向上

経営参画型のスタッフ育成は、診療報酬改定や固定費増加への対応力を強化する最も効果的な手段といえます。


おわりに:スタッフ参画が未来のクリニックを支える

内科・整形外科クリニックにおいて、スタッフの経営参画は単なる「やる気向上策」ではありません。

  • DXによる業務効率化

  • 在宅医療・地域包括ケアへの対応

  • 外来+在宅+付加価値サービスの収益構造改革

これらすべてを実行する上で、スタッフの理解と協力は不可欠です。
経営者がスタッフと目標を共有し、改善提案を反映することで、クリニック全体のチーム力が向上し、診療報酬改定後も安定した経営基盤を築くことができます。

スタッフが経営に参画するクリニックこそ、地域医療で選ばれ続ける存在となるでしょう。