2025.11.19
クリニック奮闘記
vol.1036 スタッフ・患者・地域へ理念を浸透させるための実践的アプローチ
理念を策定しただけでは組織は変わらない。理念を実際の行動レベルにまで落とし込み、スタッフと患者、さらには地域へ浸透させることで初めて、理念は「組織の文化」として定着する。本章では、理念浸透の具体策を論じる。
まず、スタッフへの浸透について考察する。日常の診療業務は多忙であり、理念を意識する余裕がないと感じるスタッフは少なくない。しかし、理念が行動に反映されなければ、組織の一体感は醸成されない。このため、朝礼での理念の読み上げ、月次ミーティングでの理念振り返り、新人研修での理念説明など、理念に触れる機会を意図的に設けることが重要である。また、理念を評価制度に組み込むことで、理念に沿った行動をスタッフ自身が意識するようになり、理念浸透が加速する。
次に、患者・地域への浸透について考える。理念は患者とのコミュニケーションやサービス品質にも影響を及ぼすため、外部への発信も欠かせない。クリニックのホームページやパンフレットに理念を明記し、院内掲示で視覚的に伝えることは、患者の安心感の向上につながる。さらに、医師やスタッフが患者説明の中で理念を自然な形で述べることで、理念は患者の理解に深く根づく。
理念浸透の成功事例として、福岡県の小児科クリニックの取り組みが挙げられる。同クリニックでは「親子の安心を第一に」を理念とし、院内動線の改善、スタッフの説明統一、待ち時間対策など、理念に基づく運営を徹底した。その結果、Googleレビューでは「安心して通える」という声が増え、地域からの信頼が向上した。
理念浸透の要点は以下の通りである。
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日常業務の中で理念に触れる仕組みをつくる
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行動評価制度に理念を組み込む
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新人研修で理念の背景を伝える
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患者説明やHPで理念を明確に示す
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具体的な行動レベルにまで落とし込む
理念は、スタッフと患者、そして地域社会に対するクリニックの約束である。理念が共有されることで、クリニックの価値提供は一貫し、地域にとって欠かせない医療機関としての存在感が高まる。
