2025.11.19
クリニック奮闘記
vol.1038 京セラの経営理念から学ぶクリニック経営 ― 応用可能な理念体系の分析
京セラの経営理念は、世界的企業としての成長を支えてきた根幹である。特に「心を高める経営」という考え方は、医療機関の理念づくりにも応用可能であり、クリニックの組織運営に極めて有効な示唆を与える。
京セラ経営の特徴は、理念を単なる標語として扱わず、「価値観」「方針」「行動基準」の三層構造で体系化している点にある。これはクリニック経営にもそのまま適用できる構造である。クリニックにおいて理念を行動に落とし込むためには、この三層構造を意識することが必要である。
たとえば、理念を「患者の不安を最短で解消する医療」と定めた場合、その下層には「迅速な情報提供」「丁寧な説明」「動線の改善」といった方針が続き、さらにその下層として「30秒以内の声かけ」「説明文の統一」「動線案内の標準化」などの行動基準を設定する。このように理念を具体的行動へと落とし込むことで、スタッフ全員が理念を日常の中で活用できる。
また、京セラ経営では、理念を社員教育の中心に置き、組織文化として定着させるという特徴がある。クリニックは組織規模が小さいため、理念浸透は大企業以上にスムーズである。理念を軸とした月例ミーティング、改善提案制度、行動基準チェックなどは、クリニックでも非常に効果的に機能する。
京都のある整形外科クリニックでは、京セラの理念体系を参考に、理念共有ミーティングや行動基準の策定を行った。その結果、スタッフの業務改善提案が活発化し、診療効率が向上しただけでなく、患者満足度の向上にも寄与した。
京セラの理念体系が示すように、理念は組織の価値基準を超えて、行動基準へと落とし込んでこそ、組織の力を最大化する。クリニックにおいても、理念を組織運営の中心に据えることで、地域に信頼される医療機関としての基盤を強固にすることができる。
