Vol.61 査定を受けたレセプトの対処

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2018.01.30

Vol.61 査定を受けたレセプトの対処

レセプトデータのオンライン請求が一般化したことで、医療機関側の事務量はかなり削減されてきまし

た。一方、支払者側に集積されたレセプトもデータ化され、その点検作業はスピーディーに、より精緻に

行われる様になりました。そうした支払者によるレセプトの点検及び査定は、医療機関にとって何とも煩

わしいことの一つになっています。返戻をうけたレセプトについては再請求できますが、減点されたレセ

プトは、次回以降の請求に向けて対策が必要なものもあります。

ではクリニックの現場では、どの様に対策を講じているのでしょうか?

 

A院長 「今月のレセプトの返戻内容を報告してくれるかな?」

事務員 「はい。保険番号の誤り等の返戻が2件ありますので、これは直ぐに再請求します。

                   減点内容については・・・・・です。」

 具体的には、腫瘍マーカーの算定、血液検査項目(NT-ProBNP)、甲状腺機能低下症のFT3の3項目が減

点対象とされていました。各項目についての対策は次の通りです。

 【腫瘍マーカーの算定】

・疑い病名のままで2ケ月連続算定はNG → 3ケ月以上の間隔をあける必要あり

・画像系検査(CT、MRI、エコー)を併せて実施すること→触診で診断できる場合はコメントを記載する

・心不全疑いでNT-ProBNPのみ実施

・確定診断もしくは病状把握がないとNG

・検査実施日の記載が必要

・胸部レントゲン、新エコーを行っていないと査定を受けることがある

【甲状腺機能低下症(確定診断)でFT3を実施】

・診断時にFT3 FT4 TSHの3項目の実施は可能

・確定診断前は、FT4とTSHの2項目はOKだがFT3はNG

・抗体ではない通常の「サイログロブリン(Tg)」については「甲状腺腫」「甲状腺がん」の病名が必要

 

(まとめ)

Aクリニックでは、院長と事務員が返戻減点内容について、対策のためのミーティングを適宜行っていま

す。全てのクリニックが、こうであればいいのですが、院長がレセプトの査定に無頓着なクリニックでは

具体的な対策がとられていません。査定を受けたことに対して憤慨するお気持ちは理解できますが、対策

を講じなければ事態は改善することはありません。

毎月の査定内容を一覧にし、内容別に整理してみましょう。医師コメントが必要なもの、検査と病名の紐

付けが必要なもの、病名と処方薬の紐付けなどに分類し、毎月のレセプト作業時に集中してチェックすれ

ば、事前の査定対策ができます。

この作業は電子カルテにより一覧集計が可能なので、作業工数はそれ程かかるものではありません。

診療方針上、査定を受けざるを得ない内容もあるかと思いますが、大事なことは査定を受けたレセプト

を、何らの対策をすることなく放置しないということです。

現在、支払者側では「突合点検」、「縦覧点検」の2種類の点検作業が行われています。参考までに、それ

ぞれの内容について、以下に解説を加えておきます。

 

【突合点検】 

・処方箋を発行した医療機関のレセプトと、薬局のレセプトを患者ごとに突き合わせる。

・薬品の「適応」「投与量」「投与日数」の点検を行う。

→ 調剤が不適当な場合は、薬局の調剤報酬から差し引かれ、処方箋が不適当であった場合

  には医療機関の診療報酬から差し引かれる。

【縦覧点検】

・複数月に渡って同一医療機関から請求された同一患者患者のレセプトを点検。

・同一医療機関から請求された同一患者の外来と入院のレセプトについて、同一月に点検。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

(参考)

Vol.24  電子カルテで残業ゼロ

https://medical-takt.com/backnumber/2017/report66.html 

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