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2018.02.28

Vol.82 その電子カルテは必要ですか? 

オフィスを覗いてみると、今やパソコン一人一台体制は当り前となりました。

パソコンなしで仕事を進めるなんて考えられない程、業務ツールとして確立されています。

さて、クリニックでは、電子カルテ(レセプトコンピューター)が、ドクターが行う診療行為や、看護師

による処置行為を事務部門と結ぶ基幹システムとして存在しています。クリニックにおける一般的な機器

構成としては、受付に2台(会計用1台、患者登録用1台)、診察室2台(2新体制の場合)の計4台が一般

的です。処置室の看護師用の電子カルテは?と思われるかもしれませんが、クリニックでは基本的には必

要ありません。今回の事例は、クリニックの新規開業の際に、業者に言われるがまま電子カルテを導入し

たクリニックのお話しです。必要だからと導入したものの、電子カルテの利用状況(使用頻度)は導入コ

ストに見合っているのかなどを検証してみたいと思います。

 

 

電子カルテメーカー「受付3台、診察室2台、処置室2台、リハビリ室1台、合計8台の構成にしましょう。

          これなら患者を待たせることなく、スムーズに診察が流れます。」

 

A院長      「なるほど。待ち時間は永遠のテーマと言うからね。電子カルテで待ち時間が軽減され

          るなら安いもんだね。」

 

クリニックの開業時には、こんな遣り取りの中で電子カルテを7台購入したA院長ですが、実際の利用状況

はどうでしょうか?電子カルテメーカーの提案どおりに現場は動いているのでしょうか。

では、それぞれの場所に配置された電子カルテの利用状況を見ていきましょう。

 

・受付の電子カルテ(3台)

新患の保険情報を入力するために1台、会計用に1台、レセプト内容のチェック用に1台の利用を想定して

います。ところがレセプトチェックは月初にまとめて処理するのが慣例となっており、日々の業務の中で

使用することは全くありません。おまけに受付スタッフは2名体制なので、1台は不要ということになりま

す。

 

・診察室1、診察室2(2台)

各診療室に電子カルテが配置されています。Aクリニックではドクターは一人なので、2診の電子カルテは

必要ないかもしれませんが、他の部屋の運用を見て検討してみましょう。

 

・処置室(2台)

こちらは看護師が入力するための電子カルテです。入力の待ち時間(アイドルタイム)を出さない様に一

人に1台体制です。どんなことを入力しているのでしょうか?

検査や処置については、院長(ドクター)が電子カルテにオーダー入力すれば指示箋が飛んできます。

この段階で、看護師が電子カルテに入力する内容はありません。考えられるのは、血液検査等の検査デー

タ、バイタル、問診内容等のコメントの付記ですが、2人の看護師が並んで作業している状況がどれほどあ

るでしょうか?タイミングをずらして時間差で利用することはできないのでしょうか?そもそも看護師が

しなければならないのでしょうか?

以上のことを斟酌した結果、血液検査等のデータ入力は受付が行うことになりました。(検査会社によっ

てはダイレクトに電子カルテにデータが転送されてきますので、入力作業は省略できます)

次にバイタルや問診内容の付記についてですが、2診にある電子カルテを利用する案が出てきました。

2診の電子カルテ不要論もありましたが、患者の更衣のために2診を利用することもできる為そのまま残

すことにし、空いている時に看護師が利用するということにすれば、処置室の2台の電子カルテが不要とい

うことになります。

患者情報を確認するために必要だということもありますが、それも2診の電子カルテを利用することで解

決します。

 

・リハビリ室(1台)

患者情報の確認のための電子カルテです。リハビリのカルテは別のシステムで運用しているため、なくて

も全く支障がないことがわかりました。

 

(まとめ)

以上の結果から、電子カルテの端末台数は削減されました。受付2台、診察室2台の計4台です。

3台の電子カルテが減ったことは各部門の業務改善につながりました。また毎月の電子カルテ保守料の削減

にも大きく貢献することとなったのです。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

  

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・Vol.2勉強しないスタッフの罪

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・Vol.61査定を受けたレセプトの対処

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