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2018.03.01

Vol.83 商業モール内でのクリニック開業

クリニックの開業場所で悩まれる先生は多いと思います。

相続等で原価ゼロの土地に建物を新築するならいざ知らず、事業収支を考えると土地を購入して建物を新

築する時代ではありません。地主に建物の建築資金を供与し、毎月の賃料と相殺する「建築協力金」方式

などの形態もありますが、テナントとして物件を賃貸するのが一般的でしょう。

そんな中で本稿では、開業場所として「商業モール」を選択いた先生のお話しをご紹介したいと思いま

す。クリニックの集合体である「医療モール(医療ビル)」とは異なり、異業種(多業種)が集まった商

業ビルには色々な条件が付けられています。人が集まってくることを最大のメリットとして考えての決断

ではありますが、契約条項に付与されているこの「色々な条件」について考えていきたいと思います。

 

コンサルタント「駅前の再開発の際、2年後に商業ビルが新築されます。その中で医療ゾーンができるので

                             すが、クリニックの開業を検討して頂けないでしょうか?」

A医師    「駅前の商業施設なら人も集まるから有り難いね。前向きに検討していきますので、宜しく

                            お願いします。」

 

こうしてA医師は商業ビルでのクリニック開業を決心しました。しかし、実際の契約となると、コンサルタ

ントから言われているチェック項目の多さに辟易としてしまいます。

以下、大まかな細目に絞って解説をしていきたいと思います。

 

・賃貸契約

10年の定期借家契約。大手の商業施設の場合、3年の定借契約のこともあります。契約期間満了後の再契約

には応じてもらえない可能性もあります。理由は時代のニーズに合わせてテナントミックスを考えたいと

するビルオーナーの意向があるためです。本稿の事例の場合、医療ゾーンとしての利用が決まっているの

で基本的には再契約はあるものと考えられます。(あくまでも希望的観測ですが・・・・)

従って期間の短い定借契約の場合は、再契約ができないリスクも考慮し短期間で新規開業時の資金回収と

移転費用の蓄積を行わなければなりませんので、医療テナントとしては不向きであると考えるべきです。

 

・工事に関する注意事項

B工事(建物本体に変更を加える工事で、テナントが費用負担すべき工事内容)については、ビルオーナー

側の指定業者。テナント区画についての業者選定は自由にできますが、本体に関わる部分については、業

者指定とすることで工事トラブルを軽減する目的があります。指定業者であるため、価格交渉ができず、

一般的には割高であると言われています。

本稿事例の様に新築であれば、工事時間に制約はありませんが、建築後にテナントとして契約する場合、

他のテナントの営業時間に干渉しない様に夜間工事をしいられるため、建築コストも高くついてしまいま

す。

 

・営業日と営業時間

商業施設の場合、土日祝祭日に多くの集客を見込んでいるため、クリニックといえども休診にできない可

能性があります。医療ゾーンの様に別区画になっていれば独自の規則を設けることもできますが、通常は

「テナント施設使用細則」として、全てのテナントが例外なく同じ条件を適用されます。営業時間につい

ても同様に考えられています。これはビルのセキュリティ上の観点から、全館同じ営業時間にしていま

す。医療ゾーンとして分けられている場合、通常の商業エリアとは別に侵入経路があれば、診療時間帯の

融通はできると思いますので契約前に要確認です。

 

(まとめ)

一般のテナントと違って、商業ビルの場合は複数店舗で成り立っていますので、仲良くしていくための

「ルール」がいくつもあります。集客力があるというメリットを受ける反面、周りと協調していかなけれ

ばならない部分もたくさん出てきます。「クリニックは自分の城だから好きなようにしたい!」と考える

のであれば、商業施設や医療モール(医療ビル)での開業はお薦めできません。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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本当は知りたい失敗談!!

世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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