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2018.03.02

Vol.84 電子カルテとレセプトコンピューター

保険請求事務(レセプト請求)の歴史をみて見ると、「紙カルテ+紙レセ」の時代から「紙カルテ+電子

請求(レセプトコンピューター)」へと電算化が進み、最終形態として、「電子カルテ」による一元化へ

と進化してきました。レセプトの電子請求については全医療機関の98%にまで達し、レセプトの電子請

求のインフラについては整ったと言えます。ところが電子カルテの普及率となると一般診療所(クリニッ

ク)の場合で35%というデータがあります。

(参照:厚生労働省 電子カルテシステム等の普及状況の推移)

 

全医療機関の数字なのでしょうが、私がここ10年の間にご支援させて頂きました新規開業のドクターは、

精神科を除きますと100%導入しています。従いまして、開業医の年齢層を60歳までに絞ると、かなりの普

及率になっているものと推測できます。かつては電子カルテ導入について消極派が多数いましたが、デメ

リットと考えられていたことを検証していきたいと思います。技術革新は凄まじいスピードでなされてい

きます。現在の電子カルテは先生方にとって、どれほどのメリットをもたらすツールに進化しているか見

ていきたいと思います。

 

まず電子カルテのメリットについてまとめてみました。

・チェック機能があるため、レセプト請求の精度が向上している

これにより返戻や過誤などの後処理にかかる事務コストが軽減されています

 

・受付時と会計時の処理がスムーズに行える

診療終了(カルテ入力が完了)と同時に会計処理が可能である。

 

・その他の事務作業の効率が向上

紹介状などの作成が簡単にできる。紹介先医療機関ごとのフォーマットを作成しておけるため、紹介状の

作成が簡単に行える。

 

・検査会社から検査データを電子カルテにダイレクトに取り込める

 

紙の検査票をカルテに記入することがないため事務処理量が削減される。

 

・全てのデータが電子カルテに一元化される

血液検査データだけでなく画像データ等も取り込みできるため、データ管理が楽にできる

・レセプト請求時の事務作業が軽減される

診療終了後、ドクターがカルテ入力を完了すれば会計処理まで行えます。病名やコメント入力に漏れがな

ければ、基本的にはこのままレセプト請求が可能です。(実務的には若干の修正が必要ではあります

が・・)したがって、レセプト請求のために月初に残業することはなくなります。

 

次にこれまでデメリットと言われてきた内容について検証しながら、どの程度改善されてきたのかも見て

みましょう。

 

 

・故障や停電時などのトラブルに弱い

機器のトラブルについては、保守契約のもとメンテナンスが入ります。基本的には遠隔操作で電子カルテ

のトラブルには対応可能になっているため、トラブルには即時の対応が可能になっています。停電につい

ては「無停電装置」を設置しているので、数時間の電源は確保されますので、復旧までの時間を稼ぐこと

はできます。また過電流に対しては強制的にはシャットダウンする様になっているため、本体への干渉は

ないように設計されています。

 

・入力に意識が集中し、患者の顔を見る余裕がない

電子カルテの一番のデメリットと言われていますが、これはドクター自身のパソコンスキルによるところ

が大きいため、機械的な改善は期待できません。操作性は向上していますので、以前に比べると入力作業

は軽減されてきてはいます。

 

・紙カルテに比べると、時系列にデータを掴みにくい

データの処理や反応スピードは格段に向上していますし、カルテ内容を時系列に見るためのインターフェ

イスの改良も進んでいます。診療に必要な過去データの閲覧にはストレスは感じなくなってきました。

 

・コストが高い

メカニック的には電子カルテの機能は成熟期に入り、各メーカーにおいても初期の開発コストの回収は済

んでいるものと思われます。初期段階では電子カルテ一台の導入費用は400万円を超えていましたが、現在

では3台構成で200万円程度にまで下がり、導入費用に関しては、レセプトコンピューターと差がありませ

ん。保守費用では若干の割高感はありますが、それでも年間に40万円から50万円程度です。事務処理コス

トは十分に回収できる金額ではないでしょうか。

 

(まとめ)

現在の電子カルテでは、従来デメリットとして考えられてきたことの殆どが改善されてきています。まだ

まだ完全形態ではありませんが、かなりのボリュームの事務コストは削減可能です。基本的な操作研修

は、開業時に受けておられると思いますが、使われていない機能がまだまだあります。電子カルテのス

ペックを最大限に活用することで、先生方の診療時間は、もっと患者に向けることができます。

一度、スタッフも交えて勉強会を行っては如何でしょうか?

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

(参考)厚生労働省 電子カルテシステム等の普及状況の推移

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/johoka/index.html 

 

◆電子カルテ、レセプト(医療事務)関連のバックナンバー◆

・Vol.2勉強しないスタッフの罪

https://medical-takt.com/backnumber/2017/report14.html 

 

・Vol.24電子カルテで残業ゼロ

https://medical-takt.com/backnumber/2017/report66.html 

 

・Vol.46電子カルテのデータ管理

https://medical-takt.com/backnumber/2018/report116.html 

 

・Vol.61査定を受けたレセプトの対処

https://medical-takt.com/backnumber/2018/report156.html 

 

・Vol.82 その電子カルテは必要ですか? 

https://medical-takt.com/backnumber/2018/report232.html   

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