2018.03.13
クリニック奮闘記
Vol.91 引継ぎ期間は1ケ月?(M&A後の保険請求の遡及手続き)
クリニックを新規開業する場合は、「開設届の提出」から「保険診療の開始」まで1ケ月のタイムラグがあ
ります。保険診療を行うクリニックでは、この1ケ月をスタッフの研修期間に充てています。一方、クリ
ニックをM&A(事業承継)する場合、一般的には「保険請求の遡及手続き」を行うことで、保険請求が途
切れない様にします。本稿では「保険請求の遡及手続き」を実務的な観点から検証してみたいと思いま
す。
A医師はクリニックの開業の選択肢としてM&A(事業承継)を検討しています。コンサルタントから提案
されたのは、個人診療所クリニックと医療法人のクリニックの2件です。
それぞれのケースについて「保険請求の遡及」の観点から、M&A(事業承継)の手続きの違いをみていき
ましょう。
【医療法人の場合】
出資持分のある医療法人であれば、「出資金の譲渡」と「理事長の交代」によりM&A(事業承継)は完了
します。経営者が交代するだけなので診療報酬上の届出の必要はなく、保険請求の遡及の概念も生じませ
ん。(同じ保険医療機関であるため)
【個人診療所の場合】
引き継ぐ側が医療法人であっても、個人の医師であっても「保険請求の遡及」手続きが必要です。基本的
には譲渡側(売主側)のクリニックに、譲受側(買主側)の医師等の勤務実績が条件となります。引継ぎ
期間については法的に明記されたものはなく、客観的に見て引継ぎに問題がなければ、その期間は問われ
ません。(2週間程度で引継ぎ可能)
従事医師の届出をする際に、所轄の厚生局と保健所にも事前相談をしておきましょう。
(その他)
クリニックをM&A(事業承継)した場合、施設基準ほかの届出内容についても承継することになります。
契約前には届け出書類の確認をしておきましょう。
届出の引継ぎについては、別の機会にお話しさせて頂きます。
大規模な改修工事等が必要な場合で、休診を余儀なくさせられることもありますが、その場合であっても
遡及手続きは忘れず行っておきましょう。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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