2018.03.28
クリニック奮闘記
Vol.102 電子カルテ入れ替え時のスタッフの抵抗
医療機関(病院、クリニック)の基幹システムの一つに電子カルテがあります。従来型の紙カルテ+オーダーリングシステムの組み合わせで運用している病院・クリニックは今でも存在しますが、少しずつ電子カルテへの移行が進んできています。こうした新システムの導入時には様々な障害が発生するものですが、業務スタイルに変化を求められる部門の抵抗が少なからずあるものです。本稿では電子カルテ導入に際して、医療事務部門のスタッフが抵抗する様をご紹介したいと思います。
産婦人科のAクリニックでは、開業当初から紙カルテとレセコンを併用したシステムを利用しています。電子カルテの導入に踏み切れなかったのは、当時の電子カルテでは入院のある産婦人科クリニックの対応に信頼感がなかったからです。遅ればせながら、漸くその不安が払拭される電子カルテに出会ったので、思い切って導入に踏み切ったのです。
A院長「いよいよ念願の電子カルテを導入しようと思います。これからは皆さんの残業時間も減って、仕
事も楽になると思いますよ。」
事務員「先生、今までのレセコンで十分ですよ。電子カルテになると今の紙カルテと暫く併用になるし、
慣れないチェック作業に余計に時間もかかると思います。」
万事がこんな感じで、医療事務の主担当者は電子カルテの導入に対して猛烈に反対します。
しかしA院長は現場の反発を黙殺し、電子カルテの導入に踏み切りました。
A院長「いろいろと意見はあると思うけど、電子カルテは私の診療の効率化を図るために導入します。最
終的には患者のためということを理解して欲しい。」
A院長の意見は正論で、電子カルテを導入する理由としては必要且つ十分な内容でしたが、現場のスタッフの反発は収まらず、退職者を2名出すという結果をもたらしました。院長は改めてスタッフを招集し、次の様に説明を行いました。
A院長「電子カルテ導入により、皆さんの業務は変革を求められます。一時的にはロスも多く発生するか
もしれませんが、システム導入の効果は直ぐに出ると思います。システム化の流れは止めることが
できません。紙カルテ中心の業務フローから、電子カルテを中心にした業務フローへの転換に、前
向きに取り組んでください。」
(まとめ)
電子カルテ導入に際して現場が反発する理由は幾つか考えられます。
・コンピューターシステムの利用についていけない
・残業時間が減ることで手当が減る
・やり慣れた業務手順を捨て、新しい業務手順を取り入れることに抵抗がある
旧来の仕事のスタイルを否定するがごとくに誕生した電子カルテですが、その機能を十二分に発揮することができれば、全業務量の半分とは言わないまでも、かなりのボリュームの業務をカットすることは可能になります。道具(ツール)は技術革新に伴って、どんどん革新されていきますが、変わっていかなければならないのは「ヒトの頭の中」にあります。事務作業の殆どはAIに取って代わると言われています。医療事務部門としてなすべき業務の本質を、クリニック全体で考えてみては如何でしょうか?
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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