2018.04.25
クリニック奮闘記
Vol.122 有給休暇はいつでも取れるのか!?
正職員に限らず、パートスタッフであっても、一定の要件を満たせば有給休暇が付与されます。労働者の当然の権利として与えられてはいますが、スタッフからの一方的な宣言による有給休暇の取得は如何なものかと思います。スタッフから有給申請がでれば、クリニックの院長としては受付なくてはなりませんが、雇用調整等が必要な場合は別の日に振り替えるなど、交渉の余地を残しておくべきであると考えられます。本稿では、自分都合による有給休暇取得がもたらす悪影響について検証してみたいと思います。
A整形外科は介護保険事業も展開しているため、スタッフは50名を超える大所帯のクリニックです。クリニックの外来部門、受付事務、リハビリ部門、訪問リハビリ部門、ケアマネージャーの5部門で構成されており、それぞれの部門に管理者が任命されています。部門間の情報共有、意思疎通をよくするため、週一回の連絡会議に月一回の経営会議が企画されています。当初は会議の中にも緊張感があり、引き締まった雰囲気で行われていましたが、やがて会議も形骸化し時には欠席者も出る様になってしまっています。
ある日の会議での出来事です。
院長 「今度の診療報酬改定では、クリニック内でもお互いの情報共有の必要性が高まってきたと感じますが、皆さんの部門ではどの様に考えていますか?」
外来主任 「院長、本日は事務部門の●●主任は有給休暇を取っていて、会議は欠席です。」
院長 「確か、先々月の会議の時も子供さんの参観があるから欠席していたね。」
実はこの事務主任、会議を欠席する常習者でした。自部門の業務(特にレセプト)だけをこなしていたらよいと考え、消化しきれていない有給休暇を会議の日に当てて欠席するのです。他にもプライベートの用事を引き合いに出してきて、問答無用で有給休暇を取得するスタッフが何人かいます。
院長 「有給休暇を取得する時は、部門の責任者と業務調整の上で休んでいいことにしているが、責任者がこれでは困るよ。」
(まとめ)
ルール上、このスタッフがしていることは問題がありませんが、組織のガバナンスとしてはNGであると言えます。会議やその他の行事が予めスケジューリングされている場合、正当な理由なく欠席することは、運営上の問題が生じます。本事案でも他部門との意見交換の必要性があるにもかかわらず、責任者は不在になっています。会議の議事の進行もままならず、コミュニケーションが機能不全になってしまっています。法律的に認められているから何でもOKということではなく、組織(チーム)の中で各人がすべきことの自覚が必要です。院長は経営者の責任で、こうしたスタッフには注意勧告の上、行動の改善を求めるべきではないでしょうか。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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