Vol.123 事業承継の相手方は利益相反関係にある

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2018.04.26

Vol.123 事業承継の相手方は利益相反関係にある

クリニックの事業承継(M&A)の場合、「相対取引き(当事者だけで行う契約)」にはちゅうが必要であることをお話しさせて頂きました。(Vol.100相対取引きは事故のもとhttps://medical-takt.com/backnumber/2018/report276.html  このお話しの本質は、契約当事者はお互いに「利益相反関係」にあるということにあります。一方の利益は、相手方の不利益になり得るということを理解していれば、相対取引きが難しいことであることが理解頂けるのではないでしょうか。本稿ではクリニックの事業承継(M&A)における、相反する利害関係について検証していきたいと思います。

 

A院長は、コンサルタントの仲介でクリニックを譲渡(事業承継:M&A)することにしました。相手先には別のコンサルタントがついており、実際の取引に際しては、契約当事者同士が話し合うことはありません。

 

A医師 「患者とスタッフを第一優先に考えていきたいのだが、金銭的には損のない様に交渉していきたい。基本的には常識の範囲内で考えていきたいと思っています。」

コンサル「先生のご意向を踏まえて有利な条件を引き出して行ける様に頑張ります。」

 

B医師 「少しでも安く購入できる様に交渉して下さい。」

コンサル「かしこまりました。」

 

この様に金銭的な面では双方の利益は真っ向から対立します。お互いの主張をぶつけるだけでは話はまとまりませんので、金銭的な要素については、「基準」を用いて落しどころを探っていきます。以下は客観的な基準として知られていますので、合意形成は得やすいと思います。(営業権については売主の考え方が強く反映される傾向にあります)

 

・営業権の評価

年間利益(医療法人の場合は理事報酬控除前の利益)をベースにする。

 

・営業資産の評価(現状有姿)

帳簿価格での取引が基本

 

そして一番問題になるのが、リスクに対する評価の取り決めです。次に掲げる項目は、時として売買代金以上の額に及ぶこともあるので、しっかりと取り決める必要があります。

 

・税務調査により税額修正があった場合

問題となる事象が、クリニック譲渡日以前か以降かにより責任範囲を明確にするのが一般的。取引終了後には関わりたくないという理由から売主側を免責にする場合もあるが、その場合は想定される税務リスクを金額的に評価し、売買代金に反映させることもできる。

 

・診療報酬の返還請求が生じた場合

上記の場合と同様に取り扱う。

 

・譲渡金額の支払方法(決済方法)

基本合意締結時に手付金の支払、本契約締結後に売買代金を支払った上で物件の引渡をするのが一般的。買主側の資金調達が上手くいかない場合、残金を分割払いにすることもあるが、その場合、売主側は回収不能になるリスクが発生するため、売買代金を引き上げた上で分割払いにすることもある。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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