2018.04.27
クリニック奮闘記
Vol.124 男性スタッフを採用する覚悟
クリニックは基本的には女性スタッフで構成されています。例外的には整形外科における理学療法士(PT)や作業療法士(OT)、臨床検査技師などの職種がありますが、正職員ではなく非常勤勤務であることが多い様です。人件費を抑えるためというのが主な理由ではありますが、そこを度外視しても常勤で雇用するクリニックがあります。勤続年数の短い女性スタッフとは違って色々な問題がありそうですが、実際にあった事例をもとに、課題に迫ってみたいと思います。
Aクリニックは循環器疾患を中心に、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を得意とする内科クリニックです。開業して5年の間、地域にもすっかり根差し、毎日、外来は患者で一杯です。院長は更なる患者サービスを追求すべく、今回、検査技師を常勤で採用しようと考えいます。メインの検査の一つでもある心エコーと腹部エコーは、現在、午前診と午後診の間で予約診の形で院長が行っていますが、検査待ちの患者も増えてきたため、それを解消する目的もあります。想定していたのは女性の検査技師でしたが、応募してきたのは若い男性の検査技師です。性格もよく仕事にも前向きなので院長は採用を決めました。お陰で、エコーの検査件数は月に150件を超え、患者サービスの向上につながっただけでなく、クリニックの経営にも貢献度が大きかったことは言うまでもありません。それから月日は流れ、5年経ちました。
技師「院長、今度、結婚することになりました。」
院長「それはおめでとう!お祝いしないといけないね。」
院長は我が事の様に喜びましたが、同時に、スタッフの生活を守っていくことに対する責任感が湧いてきたのです。そして、また・・・・・。
技師「院長、マンションを購入しました。新居に引っ越したら遊びに来てください!」
院長「落ち着いたら、声をかけてね。また、お祝いしなくちゃいけないね。」
この時のA院長は少し神妙な面持ちでした。結婚してマンションを購入し、クリニックに対する依存度がますます高まってきています。採用当初は、女性スタッフの採用時と同じレベルで採用しましたが、支払っている給料には大きな違いがありました。常勤スタッフが世帯主である場合は、クリニックの給料で生活していることになります。さて、A院長はこれからどうしていけばいいのでしょうか?
(まとめ)
・就業規則の見直し
Aクリニックには就業規則がありましたが、汎用的なものを利用しているだけで、実情にそぐわない部分も多々あります。勤務時間やその他の服務規律等の見直しを行います。
・賃金規定等の見直し
長期雇用を前提とした賃金規定及び退職金規定の整備を行います。併せて退職金の積立も始めましょう。
・昇給賞与については査定基準を設ける
さじ加減で決定する曖昧さをなくし、明確な根拠を提示できる様にしておきましょう。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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