2018.04.19
クリニック奮闘記
Vol.118 クリニックの継承とは『患者の継承』②
前回は、専門外の患者の継承の可能性について問題提起させて頂きました。単純に収入構成だけで判断していいものか?問題の核心部分について、もう少し突っ込んだ検証ができないだろうか?本稿ではA医師の意思決定のプロセスについて解説していきたいと思います。
A医師は循環器内科の専門診療は継続する方向で、継承しようと考えています。収入構成比だけで考えると、「やめる」という選択肢もありますが、総合診療科や糖尿病内科診療への影響が払拭できなかったのです。
A医師 「高齢者が多く、基本的に生活習慣病の患者が多いことがわかりました。専門診療枠は週一のた め、収入構成比は低いですが、循環器内科の来院患者を半年単位で調べてみると、アクティブ患者の多さが分かります。」
コンサル「確かにそうですね。受診間隔が空いているので、収入に対する貢献度は低いかもしれませんが、フォロー患者の実数はレセプト件数の3倍はあります。」
A医師 「そうですね。では具体策として循環器のドクターの確保を検討しましょう。これまで勤務して頂いているB先生には継続して診療してもらえる様に打診してみましょう。」
コンサル「循環器外来の時間を増やすべく、他のドクターにも声をかけてみましょう」
(まとめ)
最終的な方針は次の様に固まりました。
・院長としてA医師は、全ての診療時間に総合内科と糖尿病の専門外来を行う
・循環器内科については週一で、B先生に継続して診療してもらう
・循環器内科の専門外来を増やすため、C医師の招聘を行う。これにより受診間隔が空いている患者の来院頻度を増やす
新しいドクターを採用する場合、患者が増えるまで人件費倒れしてしまうことがおおいのですが、こちらのクリニックでは潜在患者がいました。外来時間を増やすことで、フォローしきれていなかった患者の来院を促すことが可能だと考えています。A医師は専門外来の時間が少ないことで、患者にも不便を掛けていた事実を把握し、継承前に改善を施すことができました。クリニックの継承(M&A)で、これまで来院してくれている患者へのサービスを向上させ、自信の新規患者も増やしているA医師の事業承継(M&A)は大成功であったと言えます。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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