Vol.93 診療科目別にみた開業シーズン

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2018.03.15

Vol.93 診療科目別にみた開業シーズン

医局に属している医師の場合、開業できるタイミングとしては年度替わり(通常は4月)が多い様です。ま

た医局に属していない場合は、退職する3ケ月から6ケ月前に意思表示するのが一般的の様です。ところで

クリニックを開業する時期(シーズン)は、診療科目によってベストシーズンが異なります。疾病には季

節変動がりますので、患者数のピークに合わせてスケジューリングすることが重要です。医局や勤務先の

人事の都合に合わせて開業しなければならないこともありますが、診療科目ごとのベストシーズンを知っ

た上で準備をするのとでは結果が大きく異なってきます。ある先生の開業事例をもとに検証していくこと

にしましょう。

 

耳鼻科医のB先生は、現在、医局に属していますが、来年はいよいよ開業です。自宅近くでオープンする

商業施設内のテナントで開業することになっています。

 

B先生「医局の退局は正式に来年の3月に決まりました。」

コンサルタント「クリニックの開設は4月1日、保険診療の開始は5月1日になりますね。」

 

開業はスケジュール通りに進み、B先生は無事に5月1日にクリニックを開業することができました。新し

くできたクリニックには物珍しさもあってか、開業初日から3日間程は適度な忙しさの中で診療が行われ

ていました。ところが一週間を過ぎたころからは来院患者も疎らで、B先生をはじめスタッフ達は時間を

持て余すようになってきました。

 

B先生「こう毎日が暇だと心配になってくるね。早く患者さんで一杯にならないかなぁ。」

 

勤務医時代は「超」がつくほど忙しい毎日を送っていたB先生だけに、時間を持て余す程の暇さ加減にイ

ライラが募るばかりです。することがないスタッフもソワソワし始め、診療時間中に掃除をすることが多

くなりました。

 

(まとめ)

B先生は医局人事に合わせて退職、開業しています。耳鼻科のクリニックで5月に開業するのは、どういう

意味があるのでしょうか? 一般的に耳鼻科の患者はアレルギー(花粉症)患者が増える3月頃にピークを

迎えます。開業して数年のクリニックであれば地域で認知もされていますし、少なからず固定患者がいま

すので、閑散期のダメージは考えなくても大丈夫です。ところが、B先生の様なシーズンオフの開業はど

うでしょうか?認知もされていませんし、そもそも患者自体が1年の中で底の時期です。どんなに広告にお

金をかけても効果がでにくいのです。Bクリニックで患者が増えてくるのは年末から年始にかけてという

ことになりますので、この間、運転資金は減り続けることになります。

これがシーズンオフに開業する一番のリスクなのです。新規開業直後ほど広告宣伝しやすい時はありませ

ん。開業して暫く時間が経過すると、その効果は半減します。少ない運転資金で余裕をもって経営するた

めにも、ベストシーズンでの開業をめざしたいものです。

科目別にみたベストな開業シーズンは次の通りです。参考にしてみて下さい。

 

内科系、整形外科 10月のインフルエンザのシーズンを目標にする(9月もしくは10月)

眼科、耳鼻科   3月の花粉症のピークに合わせる(12月から3月)

皮膚科      気温が上がり始める頃に合わせる。夏場にピークを迎える(4月~6月)

 

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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