2018.05.23
クリニック奮闘記
Vol.142 人事評価は「エコひいき」
4月に入社した新入社員も、一月経ち、職場の雰囲気にも馴染んできたころでしょうか。仕事を覚えていくにつれ、これからは社会の厳しさを体感していくことになります。同期入社した仲間だけでなく、先輩社員や、今後入社してくる後輩社員との競争が始まります。では視点を病院やクリニックなどの医療機関においてみましょう。病院の様に明確に人事評価制度が導入されている事業所はもちろん、人事評価制度のないクリニックにおいても、何らかの「評価基準」は存在します。営業職の様な明確な結果評価はおこないませんが、本稿では、人事評価のもつ意味と効能について考えてみたいと思います。
Aクリニックは開業して10年、当初はスタッフの出入りも激しく、落ち着かない時期もありましたが、ここ数年は定着した実感があります。スタッフ個々人の能力や、性格もある程度、把握できてきた院長は、能力に応じた評価を行って給料に反映させ様と「人事評価制度」を導入しようと検討しています。
A院長「個々のスタッフの仕事には満足しています。クリニックで必要なスキルは皆さん十分で、これ以上の仕事内容に対する評価が難しくなってきたね。これまでの横並びの評価ではなく、人事評価を行って給与にも反映させようと考えているんだが。」
社労士「まずは簡単な評価制度を作ってみましょう。」
こうして出来上がったのがコンピテンシーモデル(行動特性の標準化)です。職種に応じて階層分けを行い、院長が求めるスキルを具体的な項目にしたものです。
社労士「現在のスタッフの能力を、このモデルに当てはめて階層別にスタッフを並べてみましょう」
A院長「やはり頼りにしている人が上位にくるねぇ。Bさんを主任にしてチーム編成しよう。早速、面談を行って、個人別に評価制度の説明と同意も取り付けるよ。」
ここまでは順調にきましたが、個別面談で問題が発生いました。一部のスタッフが反発したのです。それは頼りにしてるBさんです。
Bさん「先生、評価して頂けるのは有難いのですが、私は皆と同じにして下さい。仕事は今まで以上に頑張ります!」
A院長「私はBさんの頑張りを評価したいんだよ。もちろん期待値も込めての評価だけど。」
Bさん「私には、その責任は重いです。」
こんな遣り取りが何度かあったのですが、最終的には次の昇給の時に、院長が押し切って評価制度導入に踏み切りました。暫くの間、若干のスタッフの抵抗はありましたが、事態は収束に向かいました。今ではBさんは主任待遇を受け入れ、スタッフ全員を先導し院長を補佐しています。
(まとめ)
女性スタッフが中心のクリニックにおいては、自分ひとりが矢面に立つことを嫌う傾向にあります。ピラミッド型ではなく、文鎮型チームで院長が統率する方がスタッフ間のパワーバランスを保ちやすいのです。ところが、スタッフの定着率が上がり、勤続年数が長くなると、職能(業務の範囲)による評価に限界がきてしまいます。本稿の中で、Bさんが求められたことは「後輩スタッフの教育」の一点です。A院長は人材教育ができるスタッフはBさんしかいないと考え、一段上において評価することを考えたのです。通常の院内業務に加えて「スタッフ教育」の任を受けたBさんには手当が支給されています。当初は嫌がっていたBさんですが、自分が評価されたことが非常に嬉しかった様で、後輩の指導に励んでいます。人事評価は給与に連動していきます。スタッフ個々人の給与は、院長(経営者)のメッセージが籠っているのです。先生方の思いは、しっかりとスタッフに伝え、公平公正に評価していくことがクリニックの繁栄につながるものと確信しています。
※コンピテンシーモデルについては、職種ごとに公正に客観的評価ができる様に、具体的な行動基準にしましょう。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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