2018.05.24
クリニック奮闘記
Vol.143 開業予算と資金計画(ちょっと我慢した方がいいことも?)
クリニックの新規開業で必要な予算は、内科を例にすると7000万円から8000万円となっています。その内訳は内装費用3000万円、医療機器1500万円、医師会入会金500万円、テナント保証金500万円、その他500万円、これに運転資金が1500万円~となっています。その他費用の中は広告費や備品消耗品など、その細かな内容です。全体予算を検討していく場合、全体の50%以上を占める内装費用と医療器械に注力すべきです。もちろん、細目についても無駄のない様に詰めていく必要はありますが、優先順位としては2の次です。本稿では、クリニックの開業時における資金計画と開業予算の考え方について検証していきたいと思います。
A先生 「あまりお金を掛けずに開業したいので、内装費用は2500万円までに抑えて、医療器械には多少お金を掛けたいと思います。」
コンサル「現在の開業予算は運転資金込みで7000万円。電子カルテとエコーはリースにするとして、銀行には6000万円の借入を申し込むことにしましょう。」
約ひと月の審査機関を経て、銀行からは6000万円の融資と、医療機器のリース契約の内定をもらうことができました。資金の裏付けが取れましたので、後は個々の打ち合わせを進めていくのみとなりました。
設計士「このプランで2700万円の見積もりが出ました。」
A先生「うーん。200万円のオーバーですね。全体の事業計画を見直さないといけないなぁ。」
設計士「私の方では、費用を抑えっれる様にVE案を考えてみます。」
まず内装設計に関しては、VE案により80万円のコストダウンができました。A先生は医療機器についても同様に見直しを掛けています。
電子カルテ、エコー、エックス線装置、CR、画像ファイリングシステム、心電計、血球検査装・・・。価格交渉の結果、こちらは約300万円の予算オーバーです。検討の結果、血球検査について、当初は外注化、心電計についてはホルターを諦めて解析機能付きの基本スペックのみの機種、エコーは中古で購入することとしました。
(まとめ)
内装工事に関しては、部屋数が多くなるほど建具が増えますので、コストも上がっていきます。建具の数を減らす方法や仕様の変更も検討してみましょう。医療機器に関しては、全てを揃えようとせず、段階的に購入することも検討してみて下さい。開業当初は器機の投資効率も低いため、フルスペックで開業するのは勿体ないと考えることもできます。ランニングコストはかかりますが、検査などは外注化することで初期投資を抑えることも必要です。思っている以上に、必要なかったということもあります。また器械によっては中古機器に置き換えることでコストダウンすることも可能です。リースで購入できるからといって、安易に購入することだけはやめましょう。
※VE案(Value Engineeringの意味:機能を損なわずに価格を下げる提案)
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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