2018.05.01
Vol.126 診療受付時間は何時までがいいのか
開業当初、一人でも多くの患者に来院してもらおうと、受付時間を遅くまで対応するクリニックがあります。また同様の発想で土曜日の午後診及び夜診、日曜診療を行うクリニックも増えてきました。診療時間を増やすことで患者の来院機会は増えますが、プラスの部分だけではありません。他のクリニックが診療していない時間帯には、専門外の想定していない患者が来院してくることもあります。またスタッフの確保も採用難の時代にあっては、院長の考えだけでどうにもならないことも考えられます。本稿では、開業まもないクリニックの院長の奮闘ぶりをみていきたいと思います。
Aクリニックでは、開業当初から一人でも多くの患者に来てもらうため、診療受付時間をできるだけ長くしてきました。出勤前のサラリーマンや、登校前の学生や幼児のために8時に診療をスタートし、夜診は就業後に通院してもらえるようにと20時までクリニックを営業しています。開業して5年が経ち経営も軌道に乗ってきたので、診療時間の見直しを行うことにしましたが、患者が減ることへの不安もありなかなか実行に移してこれませんでした。
A院長 「スタッフの負担も考えて、少し診療時間を見直したいんだが、どうだろうか?」
コンサル「時間ごとの患者数を見てみると、8時~9時は患者も殆どいないので止めてもよいかと思いま
す。夜診帯では19時~20時の来院数も少ないですね。生活習慣病のサラリーマン患者が時々来院
している様です。」
A院長 「早朝は止めることに躊躇いはないのだが、夜診の時間は少し勇気がいるなあ。」
最終的に夜診も19時で終了することしたのですが、A院長は少しだけ工夫をしました。決まった時間に来院する患者に19時までに来院してもらう様にお願いをしてみました。すると、それまでは20時の終了に合わせて来院していた患者も19時までに来院する様になりました。また仕事の都合で、どうしても来院できない患者は土曜日に来院する様になりました。ある程度、患者の流れが落ち着いたところで、受診後は次回の来院予約を先生自らが取る様にしました。そうすることで患者の来院動機を高めることにも成功しました。
(まとめ)
状態の落ち着いている患者であれば、医療機関側(病院、クリニック)から診療スケジュールを積極的に提案することは悪いことではありません。諸事情で約束の日に受診ができなかったとしても、患者に意識があれば日を置かずして来院します。そして時間の変更についても多少の混乱はありますが、やがてはクリニックのスタイルに慣れてくるものです。立地や診療時間の長さで来院してくる患者は一定数いますが、継続加療の必要のある患者は基本的には院長先生の診療を目的に来院されますので、時間の変更程度であれば大勢には影響はでないでしょう。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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