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2018.04.09

Vol.110 事務部門のアウトソーシング

経営効率を最大限にすることを考えている病院経営では、特定の部門あるいは業務についての外注化(アウトソーシング)が行われています。その領域は医療事務、総務、経理などの間接部門の全てに及んでいます。外注化(アウトソーシング)の最大のメリットは、直接雇用による労務管理が不要になることと、業務品質の均一化が図れるところにあります。病院で一般的なサービスとして認識されていますが、クリニックに取り入れた場合にメリットは享受できるでしょうか?本稿ではクリニックにおける医療事務部門の外注化にフォーカスして、その可能性いついて言及していきたいと思います。

 Aクリニックでは受付スタッフの定着率が悪く、新人スタッフの教育に時間を取られて業務効率が一向にあがりません。特に医療事務(レセプト請求)の経験者の採用に苦労しており、院長自身で一からレセプト請求をしなければならないこともしばしばあります。

 

A院長    「レセプトができる人が退職してしまったから、今月も私がしなければいけ

                             ないね」

事務スタッフ 「早く経験者が採用できればいいんですが・・・。私たちも勉強して少しでも戦力になる

                              様に頑張ります。」

 

未経験者のスタッフも頑張ってレセプトの勉強をしてはくれますが、できる様になった頃に退職してしまうため、Aクリニックの医療事務は一向に落ち着きません。そこでA院長は医療事務部門をアウトソーシングすることを検討してみることにしました。業者に外注することで、レセプト請求業務に関しての心配はなくなります。日々の受付業務に関しては今のスタッフで対応できますので、月初のレセプト請求の一週間のみ対応できればいいのです。早速、A院長はレセプト請求の代行業者に連絡を取り業務内容の見直しを行いました。

 

Aクリニック様の場合、月のレセプト件数は外来が約1000件。在宅診療のレセプトが約30枚。電子カルテを利用しています。今までは、レセプト担当スタッフ2名が、月初の10日間、クリニックに籠り切りで業務を処理していました。月の残業時間も一人当たり50時間を超えており、残業手当も大きな支出になっています。A院長としては残業時間と、時間外手当の削減が経営課題と考えており、外注化した場合の費用対効果を、様々な角度から検証してみました。

 

(まとめ)

人件費の要素だけを検討すると、正社員の給料が月額30万円(クリニック負担の社会保険料を含む)。これに毎月の残業手当が約5万円あります。もう一名はパートスタッフですが、こちらは残業手当を含めて一月の給料が約12万円になります。2人合わせて50万円弱の人件費になりますが、レセプト代行業者を利用することで半分程度まで削減が可能になる計算です。パートスタッフは温存する体制にしたとしても、3割位のコストカットが可能です。これにより人件費のトータルコストが削減され、パートスタッフのみの管理でよくなります。そして、最大の心配事であるレセプト業務専担者の採用と、教育にかかる時間が不要になり、受付業務に専念することで患者サービスの向上も図れる様になりました。ITの技術革新により、電子カルテを始めとするツールを上手く使い熟すことで、業務効率は格段にあがります。理想はクリニック内で処理できる体制の構築ですが、残念ながらクリニックではスタッフの定着化が難しいため、院内のシステムとしても定着しにくいという背景があります。病院で始まった外注システムですが、クリニックでも積極的に取り入れ、経営の効率化を検討してみて下さい。事務的(定型的)な業務はスタッフから解放し、本当に必要な患者サービスが何かに気付いてもらうチャンスかもしれません。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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