2018.04.02
Vol.105 代診ドクターの診療日
学会やプライベートな予定で、クリニックを休診にしなければならない状況もあるかと思います。一日当りの売上が数十万円になることを考えると、クリニックを普段通りに診療するのと休診にするのとでは大きな違いがあります。前もって予定が解っていれば代診を立てるという選択肢がありますが、費用帯効果を含めて、上手くいかないことの方が多い様に思われます。本稿では、代診ドクターで診療を行うクリニックの問題点を実例をもとに検証していきたいと思います。
来月に親戚の結婚式の案内を受け取ったA院長は、当日は代診を立てて診療をすることにしました。幸い、大学の後輩ドクターが快くアルバイトを引き受けてくれたので、休診せずに済んだのです。患者向けには院内掲示とホームページに、代診ドクターにより診療を行うことを前もって告知しています。
A院長 「来週は代診のB先生が来られるので、皆さん宜しくお願いします。」
スタッフ「かしこまりました。来週は院長が休みだから、今週は院長頼みの患者さんが多いですね。」
A院長 「B先生のときでもいいんだけど、初めての先生だから不安もあるんだろうか?」
スタッフ「このクリニックはA院長のファンの患者ですから・・・・。」
確かにA院長の休診を事前に知っている患者で処方の必要な患者は、早目の受診に来院されている様で、クリニックはいつも以上に忙しい様です。さて、いよいよB先生の代診日になりました。
B先生 「皆さん、今日一日、宜しくお願いします。」
スタッフ「先生宜しくお願いします!」
B先生の気合むなしく、この日のクリニックの外来は閑散としています。
患者 「あれ? A院長はお休みなの?」
スタッフ「はい。今日はB先生が代わりに診察して下さっています。」
患者 「そうなの。薬もまだあるし、出直してきます。」
こんな感じでB先生の代診日は、のんびりした雰囲気で終了したのです。そして週明けの月曜日から、いつも通りのA院長の診察が始まります。
A院長 「今日は、先週末よりも患者が多い気がするなあ。朝から待合室が一杯だね。」
スタッフ「院長の休診日を外して、前後に患者さんが集中していると思います。時間のある高齢者患者
は、あえて代診の先生の診察日に来る必要がないのでしょうね。」
患者の利便性を考えて後輩のB先生に代診を頼んだつもりが、結果として効果がなかったことにA院長は多少の落胆を覚えました。経営的にも人件費倒れになっているため、休診にしてもよかったのでは?と考えてしまいます。
(まとめ)
クリニックでは代診ドクターの場合、患者は受診を控える傾向にあります。病院の様に機能で運営しているのと異なり、クリニックは院長先生のパーソナリティで患者を引っ張っている要素が大きいためです。殆どの患者は院長先生のファンなのです。クリニックを長く経営していると休診にしなければならない時は出てくると思います。「売上が・・・」と心配するお気持ちはわかりますが、実際には休診による減収のダメージはそれほど大きくはありません。但し、薬の処方期間等の問題で、患者対応をした方がよいと考えられる場合は、代診を立てて診療を行うか、予めは早目の受診を促す様にしなければなりません。代診ドクターの場合は、患者が減ることはある程度は、想定しておかなければなりませんが、患者の来院日をコントロールすることも検討してみて下さい。血液検査他、検査のための来院、薬の処方の為の来院、院長みずからが代診ドクターによる診療であることを伝えて、来院を促しましょう。コストの問題はありますが、アルバイトの先生と2診体制にして、顔を知ってもらっておくことも効果があると思います。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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