Vol.107 仕組みで運営するクリニック

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2018.04.04

Vol.107 仕組みで運営するクリニック

クリニックの事業展開の一つとして分院展開があります。違うコンセプトのクリニック作りを目指して分院にする場合、雇用している常勤ドクターのために分院にする場合、もっと単純に収益拡大のための分院展開など、その動機は様々です。しかしながら見栄や道楽で事業はできません。事業継続のためには「利益」という至上命題が存在し、医療における「安心」「安全」と並列に重要項目として位置付けられます。以前にもVol.19分院経営は難しいhttps://medical-takt.com/backnumber/2017/report55.htmlの講でお話しさせて頂いた様に、分院経営成功の鍵は、分院長となるドクターの経営力によるところが大です。

 分院長には基本的な経営スキルは身に着けてもらう必要がありますが、医療法人の理事長(経営者)としては、そうした人に関する経営リスクは極力減らしたいものです。そのためにはクリニックのマネジメントを「ヒト」ではなく「仕組み」で運営することを考えなくてはなりません。本稿では仕組みによる「分院マネジメント」について、実例を交えながら「仕組みで運営するクリニック」について検証していきたいと思います。

 

医療法人Aクリニックの理事長は、事業拡大を狙って分院展開しようと考えています。Aクリニックには長年、ともに働いてきた右腕になるドクターもいるので、マンパワー的には充足していますし、医療サービスの質的問題もありません。クリニック用の物件も確保し、いよいよ分院オープンです。

 

A理事長「さて、いよいよ分院がオープンします。運営についてはB先生にお任せしますので、宜しくお

                  願いします。」

B分院長「Aクリニックで勉強してきたことを、この分院にも生かしていきます。」

 

分院オープンのところまではよかったのですが、実際の運営となると様々な問題が生じてきました。具体的な問題点は次の通りです。

 

・診療方針に関して、アルバイトドクターに周知させていなかったため、薬の処方や検査の実施について

    クリニックとしての統一性を欠いていた。

・医療事務スタッフや看護師の労務管理ができていない

・コスト意識が低く、無駄使いが多い

 

(まとめ)

やはり一番の問題は分院長の管理能力にあります。医療法人の理事長であれば全てクリアーできている問題ですが、B分院長の管理能力の低さが、この様な問題を引き起こすことになっています。では「仕組みで運営するクリニック」にするためには、どの様に改善していけばいいでしょうか?

・傷病に関して、治療ガイドラインとなるものを決めておく。薬の処方内容や検査方針にバラツキがでない様にすること。アルバイトドクターを雇用する場合、出身大学によって治療方針や薬の処方に対する考え方が異なるため、統一しておいた方がよい。検査の実施に関しても、基本的にはドクターの主観が入らない様に統一する方がよいいでしょう。

 カルテの記載方法についても、個人差がでない様に、電子カルテの記入については、ある程度フォーマット化しておいた方がよいでしょう。

・スタッフの労務管理に関して、分院長を含めて法人全体で労務管理することを考えましょう。事務的な勤怠管理(タイムカード管理や給与計算)は本部で行います。出退勤の時間管理については分院長の仕事になりますので、ドクター自身にも模範となる様な行動が求められるところです。

・経営者と従業員とでは、コストに関する感覚には大きな差があります。現場任せにすると、どうしても無駄が多くなりますので、最低限の仕組みとして、全ての発注業務は、現場責任者から本部に報告させる様にしましょう。窓口負担金(レジ現金)や小口の支払い用の現金についても基本的には本部決済とします。現金管理を現場で行うと、不正などの犯罪行為が発生するリスクが大きくなります。犯罪者を作らない様にするためにも、現金管理は他人任せにしない様にしましょう。

 

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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