Clinic Diary
クリニック奮闘記
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クリニック奮闘記
開業医の所得は勤務医より高く見えますが、社会保険、退職金、休業、借入の返済まで、すべてを自分で賄う必要があります。保障とリスクの違いから、開業医の所得の実態を解説します。
開業医の所得は、勤務医より高いのが一般的です。ただし、その差の多くは、勤務医なら勤務先が負担してくれる保障や、事業の借入の返済を、開業医が自分の所得から賄っていることで生まれています。額面だけで比べると、実態を見誤ります。
| 項目 | 勤務医 | 開業医 |
|---|---|---|
| 社会保険(健康保険・年金) | 保険料の半分を勤務先が負担 | 事業の利益から負担(医療法人は経費として処理) |
| 退職金 | 勤務先の負担で積み立て | 小規模企業共済(個人)や生命保険(医療法人)などで自ら準備 |
| 休み | 有給休暇がある | 有給休暇はない。休診すれば収入はゼロ |
| 借入金の返済 | なし | 設備投資の借入を、個人なら手取りから、医療法人なら税引き後の利益から返済 |
| 病気やけがで働けないとき | 傷病手当金などの補償がある | 公的な補償は限られ、自ら備える必要がある |
勤務医は、労働基準法などの法律と、勤務先の福利厚生に守られています。開業医には、そのどちらもありません。社会保険料、退職金、老後の資金、設備投資の返済を、すべて事業の利益から生み出す必要があります。
つまり、開業医は勤務医より所得が高くなければ、生涯を通じた収入を確保できない構造になっています。
さらに、開業医の所得は診療科によって大きく違います。診療単価の高さだけでなく、設備投資やランニングコストを差し引いた利益率で比べなければ、正確な比較はできません。診療科ごとの違いは、前回の記事で解説しています。
開業医の所得の高さは、社会からは目立って見えるかもしれません。しかし、保障をすべて自分で手当てし、働けなくなるリスクも自ら負うことを考えると、それは経営を続けるために必要な所得だと言えます。大切なのは、所得の額より、毎月の収入を確実に確保できる経営の仕組みです。
その他の記事: 開業医は儲けすぎ?① 診療科目別利益率
監修:柳 尚信(株式会社メディカルタクト 代表取締役)
会計事務所系コンサルティング会社で医療機関の経営支援に携わり、レセプト請求代行の取引実績は600件超。地区医師会や製薬会社でのセミナー講師、日経メディカルオンラインでのコラム連載『開業の落とし穴』『診療所駆け込み寺』を務める。著書『クリニック経営はレセプトが9割』(2021年、幻冬舎)。
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