Vol.113 開業医は儲けすぎ?① ~診療科目別利益率~

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2018.04.12

Vol.113 開業医は儲けすぎ?① ~診療科目別利益率~

今年は医療保険介護保険の同時改訂の年でした。財務省の長期展望の中には医療費削減のために、開業医に支払う診療報酬カットがあります。その様な議論の中で開業医の所得の高さが引き合いに出されますが、その議論に正当性はあるのでしょうか?本稿では「儲けすぎ」と言われている開業医の所得について、議論の本質部分に迫ってみたいと思います。

 

開業医の所得について議論する前に、診療科目別の利益率を考えてみたいと思います。

では診療科別に診療単価をみてみましょう。

※診療単価は一回の受診に対する診療報酬単価

内科5000円 整形外科3000円 耳鼻科3200円 眼科6000円 皮膚科3000円 小児科5000円 婦人科3500円 精神科6000円

 

こうしてみると、診療科目によってバラツキがあることが分りますが、単価の高い診療科目が儲かっていて、低い診療科目は儲かっていないのでしょうか?

経営的な観点からは、利益(収入―原価-ランニングコスト)で比較していかなければ本当の比較はできません。内科と皮膚科を例に比較してみましょう。それぞれの設備投資とランニングコスト等は次の通りです。

 

(内科)

・設備投資

 電子カルテ、レントゲン、CR、心電計、エコー、建築面積40坪 合計3200万円

・ランニングコスト

 人件費(看護師3人、事務員3人)100万円

 家賃               40万円

 返済(リースほか)        60万円

  その他支払                     150万円   合計350万円

 

(皮膚科)

・設備投資

 電子カルテ、顕微鏡、建築面積20坪             合計1200万円

・ランニングコスト

 人件費(看護師1人、事務員3人) 50万円

 家賃               20万円

返済(リースほか)        30万円

その他支払            150万円                  合計  250万円

 

以上の様な投資額とランニングコストが必要になることを考えると、それぞれの診療単価に対する利益率は、内科1,500円(30%)、皮膚科1,200円(40%)となり診療単価の差ほどの開きがなくなります。(詳しくは無料コンサルレポートで解説していきます。 登録はこちらから→https://medical-takt.com/mail.html )

単純比較でいくと、内科クリニックの方が、利益が出る構造になっていますが、診察する患者数に大きな差があります。

●内科で一日60人診察した場合  

90,000円 20日稼働とすると180万円の利益 年間2160万円の利益

●皮膚科で一日80人診察した場合

96,000円 20日稼働とすると192万円の利益 年間2304万円の利益

 

診察に対するストレス等の要因は別にして、事業収支としては皮膚科の方が、収益力が高いと言えます。穿った見方をすると、皮膚科の処方薬を保険外にしようとする動きは、こうした収益力の観点から持ち上がったのかもしれません。

本題テーマに立ち返って、開業医の所得を考える場合、前提として診療科目別に考えていかなければならないことを提起し、次回、本質部分の議論に迫りたいと思います。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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