Vol.150 「掛け持ち勤務」のスタッフの言い分 

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2018.06.04

Vol.150 「掛け持ち勤務」のスタッフの言い分 

2か所以上の医療機関を掛け持ち、もしくは異業種の職場で勤務しているスタッフがいます。一つの事業所では少しの日数しかシフトに入れてもらえないため、空き時間を有効活用して掛け持ち勤務されています。ご本人にとっては、できれば1か所で勤務した方が、移動のための時間もなくなり時間効率があがりますし、体力的にも楽になると思われます。そうできないのは事業所ごとに事情がある訳ですが、本稿では、掛け持ち勤務スタッフの常勤雇用についてのトラブルをご紹介いたします。

 

Aクリニックの事務員Bさんは、週2日の午前勤務で働いています。本人の希望では常勤とは言わないまでも、フルパートに近い勤務で、しっかりと収入を得たいと考えている様です。ところが、A院長の方針で、受付業務(医療事務)については、最低限のコマ数を大勢のスタッフで回すことになっています。これはスタッフの退職に伴い業務に穴が空くことを避けたいという理由によります。そこでBさんはA院長の了解を得た上で、もう一日を別のCクリニックで勤務するという兼業スタイルを選択したのです。

こうした勤務は、1年も経つと体力的に厳しくなったため、BさんはA院長に相談することにしました。

 

Bさん「先生、私はこのクリニックで、もっと働きたいので勤務のコマ数を増やして下さい!」

A院長「他のスタッフのコマ数が減ることになるからねぇ。将来的には常勤登用も検討中だから、今は我慢してくれるかな?」

 

こうなった以上、収入を得たい考えているBさんの希望を満たすためには、もう一方のクリニックの勤務を増やすしかありません。Cクリニックではスタッフの退職に伴い、募集を検討中であったため、Bさんの勤務増は両者にとってWin-Winの関係でした。これで週4日の勤務となり、収入面ではBさんの希望はある程度、満たされたと言えます。

 

そんな中、Aクリニックでも退職者がでました。A院長にとって一定数の退職者は想定内のことであり、いつも通りの求人を行いました。ところが、いくら待っても応募が全くありません。増員ができない状態では、他のスタッフには少なからず負担がかかることとなり、不満が出てき始めたのです。

 

受付スタッフ「週2日の勤務で生活のリズムができているし、午前勤務だけならまだしも午後勤務のヘルプは困るわね。子供のお迎えを義母にお願いするのも気が引けるし・・・。」

 

A院長「Bさん、よかったらウチのクリニックの勤務を増やしてもらえないだろうか?今なら貴女の希望に添えると思うのだけど。」

Bさん「すいません。一方のクリニックで週2日のシフトに入っています。あちらの先生に不義理することもできないので残念ですがお断りします。」

 

(まとめ)

後になって分かったのですが、Bさんはこれを機に常勤勤務にしてもらおうと考えていた様です。パートの掛け持ち勤務は、人員整理の矢面に立つこともあり立場が不安定です。また祝祭日などにより給料が増減しますので、暦に影響されず固定給として受け取れる常勤の方が安定します。このことを他のスタッフから聞いたA院長は、Bさんを常勤待遇で迎える提案をしました。その後、Bさんは他のクリニックとの業務の調整を行いながら、半年後にAクリニックの常勤スタッフとなることができたのです。今回のことを踏まえて、A院長はスタッフの陣容の見直しを行い、数人の常勤スタッフを採用することにしました。常勤スタッフを中心にして、パートスタッフが補佐する体制をとります。A院長にとっては、コストは増えましたが、シフトに穴ができるストレスからは解放され一件落着です。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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世の中に成功体験は数多くありますが、苦労話や失敗談を見聞きすることはあまりありません。クリニックの中で実際に起こった、先生方がこれから経験するかもしれないトラブル事例をエッセイ風に読みやすくまとめてみました。
成功ノウハウを真似るのは難しいですが、失敗のリスクを予見し、軽減することでクリニック経営を安定させることができます。本稿では思いがけないトラブルが連発しますが、「他山の石」として実際の経営に活かしてください。

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