2018.06.15
クリニック奮闘記
Vol.159 対応を丸投げするスタッフ
企業であれば4月に新入社員として入社後、新人研修なるものが行われ、社会人のイロハを教え込まれます。ところが医療機関では一部の大病院を除いては、満足なスタッフ教育がなされていないのが現状です。友人同士では問題がないことでも、組織人としてはNGであることは多々あります。本稿では、医療機関(特にクリニック)におけるスタッフ教育の必要性について考えてみたいと思います。
ある病院の地域連携室から電話が入りました。
受付スタッフ「院長先生は、只今、診察中ですので掛けなおしてもらえますか?」
また、こんなこともありました。患者の家族からの問い合わせです。
受付スタッフ「院長も看護師も、今、手が離せませんので、後程、こちらからお掛けします。」
午前の診察の混雑が終わりかける頃、受付スタッフは、電話があったことを院長に報告しました。空き時間を使って、患者家族と病院の地域連携室への電話対応を終えたのですが、院長は憮然としています。一体どうしたというのでしょうか?
院長「今日の午前中の電話の件だけど、どちらも事務的な連絡だったよ。受付の対応で事足りると思うのだけど、相手に何時間も待たせることなかったのに。」
問題の本質は、受付スタッフが相手の要件を聞かなかったことにあります。まず相手の要件を聞くことで、自分がどの様に行動すべきかを判断をすべきでした。対応力に自信がなかったため、要件を聞かず院長に丸投げしてすることで責任回避をしてしまっています。こういう仕事の仕方をすればミスをする確率は下がりますが、個人の問題解決能力は一向にあがることがありません。結局は仕事のできる人に業務が集中し、クリニック内に忙しい人と暇な人が同居することになってしまいます。
(まとめ)
お役所仕事を揶揄する言い方の一つに『たらい回し』という言葉があります。業務を細かく細分化している弊害ではありますが、問題の"解決策"を求めている相手に対しては、最初に対応した人が最後まで責任をもって対応するのがサービス業の基本です。相手の言葉に耳を傾け、何をして欲しいのかを汲み取ります。その上で自分が対応できないことがわかれば、問題解決できる人を探して、その人に託しますが、解決するところまでは見届ける様にしましょう。大きな組織ではありません。クリニックの中で起こっている事案です。『我関せず』という無責任さは、組織における一番の害であると認識しなければなりません。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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