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2018.07.03

Vol.171 3万円のパート代の意味

女性の社会進出を考えた場合、結婚、出産、育児という時間を看過することはできません。子供を保育所等に預けることによって、子供が小さい頃から働くことができる環境を得られる女性もいらっしゃいますが、殆どの場合は産後の約10年は家庭に入り育児に専念することになります。ある程度、落ち着いてくると空き時間で収入を得るためにパートに出ることもありますが、本稿では、そんな女性の働き方(仕事と家庭の両立)について考えてみたいと思います。

 

ある看護師Aさんのお話しをしたいと思います。結婚後すぐに男の子を出産し、6歳になるまで育児に追われる毎日を過ごしていましたが、現在は近所に住む母親の手助けもあり時間にも余裕が出てきました。

 

Aさん「お母さん、午前中だけでも働きに行こうと思うのだけど・・・」

母親 「あなたが働いている間は、私が子供の面倒をみるから大丈夫よ!」

Aさん「お母さん、有難う。」

 

こうして近所のクリニックで、午前のみ看護師で働くことになりました。毎月のパート収入は約3万円ですが、これを息子のスイミングスクール代に充てています。働き始めて数ケ月が経った頃、Aさんは新しい生活スタイルにも慣れてきたのですが、子供に変化が起こり始めます。これまでは風邪をひくことも殆どなかったのですが、働きに出る様になってからは、よく体調を崩す様になってきました。実の母親に見てもらっているから安心という訳にもいかず、急遽、仕事を休むことも出てきます。

 

ご主人「看護師として働くことはいいのだけど、ウチの子供はまだ小さいし、働くのはもう少し先でもいいんじゃないかな?」

Aさん「せめてスイミングスクールの月謝だけでも稼ぎたいんだけど。」

ご主人「小学校の高学年になるまでは、子供と一緒にいて欲しいなあ。仕事は辞めてくれないかな。習い事の月謝くらいは、どうにかなるだろう?」

 

ご主人が仕事を終えて帰宅すると、毎日の様にこんな夫婦の会話が繰り返されています。許される範囲で働きたいと考えているAさんと、専業主婦になって子供と一緒にいて欲しいと考えているご主人との考えには大きな乖離があります。Aさんの本音の部分は、スイミングスクールの1万円の月謝と生活費として消費している2万円の既成事実を踏まえ、ご主人の給料から捻出するのがしんどいと考えている様です。

 

(まとめ)

こちらのご家庭では、子供が小学校の高学年になるまではAさんは仕事をしないという結論になりました。習い事の月謝を捻出するために、生活費を切り詰めている苦労を、ご主人は全く知らないのですが、Aさんがこれを言ってしまうと家庭不和になってしまいます。世の中のご主人は、主婦がパートで稼ぐ数万円が家計費にどれだけ大きな影響を与えているかは解っていません。パートスタッフに支払う毎月数万円の給料の意味を先生方にも少し考えて頂きたいのです。一旦、生活費の一部として消費される様になってしまうと、元に戻すのは容易ではありません。クリニック内では、一時的に余剰人員が発生することで、ワークシャアリングが行われパート収入が減ることがありますが、仮に1万円の減収であっても、少なからず我慢を強いられる環境が各家庭に起こっていると知って頂きたいのです。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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