2018.07.17
クリニック奮闘記
Vol.181 院長が休むのは悪いことなのか?
どんな職場にも困りものはいます。当然、程度の差はあるのですが、中には放っておけない
場合もあるのです。皆さん大人なので基本的には大きな問題になることはないのですが、本稿では度を過ぎたと思われる事例をご紹介させて頂きます。当の本人に悪気は全くないのですが、世間一般の常識に照らし合わせると問題ありと考えられる場合です。さて、いつものAクリニックでは、どんなトラブルが起こったのでしょうか?
Aクリニックは整形外科の外来診療を中心に、在宅医療、デイケア力を入れており、医療介護をシームレスに診ることができるクリニックを目指しています。院長の外来診療は評判で口コミも広がって連日大忙しです。外来診療が終われば、訪問診療に出掛けるのですが、仕事が終わって帰宅できるのは毎日10時を過ぎる頃です。当然、訪問診療の患者がいますので、深夜の呼び出しにも対応しなければならず、A院長の緊張が解けることはありません。そんな生活を開業後10年以上続けてきたのですが、今年は長めの夏季休暇を取ることにしました。例年であればお盆休みとして3日程度をクリニック全体の休みとするのですが、今年はクリニックとして1週間の夏季休暇をとることにしたのです。A院長は、この1週間の休暇で家族旅行にでも行こうと計画を立てています。ある日の朝礼で夏季休暇のスケジュールをA院長は公表したところ問題が発生しました。
A院長「今年の夏季休暇は8月〇〇日から1週間です。日頃は有給も取れていない様ですが、公休としますのでユックリと休んでください。」
スタッフB「私たち正職員はいいんですが、パートスタッフは休むと給料が減るので困ります。」
A院長「個々の事情はあるかもしれないですが、これはクリニックの公休ということで考えて欲しい。」
スタッフC「一週間も休むとデイの利用者は困ります。家族も預け先がありませんし・・。そもそも、デイケアで休んでところなんてありませんよ。」
A院長「他の施設のことは知らないけど、ウチは例年だとお盆と年末年始は休んでるし、今年は少し長くなるだけど・・・・。」
デイケアのスタッフは院長が休むことに強硬に異を唱えました。スタッフ全員の総意ではないと考えた院長は、反対されそうな利用者に対して直接説明することにしました。幸いなことに、全ての利用者に納得してもらうことができたので、Aクリニックの夏季休暇は予定通り1週間となりました。そのおかげでA院長がリフレッシュできただけでなく、日頃休むことができなかったスタッフも休暇がとることができたため、現場からの不平不満が出ることはなかったのです。
(まとめ)
本稿の事例の様に、院長の提言に対して異を唱えるスタッフは、まずいないと思います。
そういう意味ではこの様な事例は特殊ではありますが、現場の意見としては貴重なサンプリングができたとも言えます。矢面にたって発言するスタッフは少ないですが、色んな考えのスタッフがいることも認めなければなりません。本稿では「院長が休むことの是非」を問うていますが、スタッフの意見を斟酌することはあっても流される必要は全くないのです。院長が休むことが個人的な問題であったとしても、クリニック全体の利益につながることであれば何の遠慮も必要ありません。どんどん休暇を取って、リフレッシュして良質な医療を提供して下さい。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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