2018.05.10
クリニック奮闘記
Vol.133 開発途中のニュータウンでの開業
開業場所を検討中で、苦戦されている先生は多いのではないでしょうか。既存物件で、商売に適したものは誰しも欲しい情報ですが、『ピカイチ』物件は表に流通することなく、プロ同士、または不動産業者にとっての上客へ流れていきますので、目にすることが難しいのが普通です。そんな中で新築物件の情報、とりわけニュータウンの開発案件は魅力的に映ります。新しい街というのは、もともとの地元住民だけでなく、他の地域からも住民が流入してくるため、地縁のない落下傘開業にも向いています。そういう意味では、開業している多くの先生にとってチャンスでもあります。本稿では、そんなニュータウンで開業を検討しているA医師にフォーカスしてみたいと思います。
郊外の総合病院で勤務している小児科医のA先生は、勤務先病院の近隣でニュウータウンの開発が始まっていることを知りました。そろそろ開業もけんとうしていたので、不動産情報を探ってみると、手頃な新築テナント物件もいくつかあることを掴んだのです。いくつか内覧した後、ある新築物件で契約をしました。開業に選んだ場所の周辺街区は、まだまだ工事中のところも多いのですが、半径1キロ圏内には400世帯分の分譲マンションの竣工を控えています。
A先生 「クリニックは無事にオープンできたけど、周りはまだまだ工事中だね。」
コンサル「近隣のマンションは全戸販売完了していますが、入居は半年後の春です。」
A先生 「それまでは我慢の毎日が続きそうだ。」
クリニックの開業は勤務先病院の人事のこともあり、街区にあるマンション竣工の半年前になってしまいました。少しの不安はありましたが、旧街区にも住民がいるため何とかなるだろうと安易に考えての開業です。
開発地域は広大で、建築中の大規模マンションには、外部から人を寄せ付けない、真っ白な仮囲いで覆われています。お陰で新しくクリニックができたということが分りにくい状況になっています。
(まとめ)
小児科であるAクリニックが、ニュータウンを開業場所とすることは正攻法であると考えられます。しかしながら事例の様な大規模な開発案件の場合は、個々の建物の完成時期をスケジューリングすることは言うまでもありませんが、個々のマンションの引っ越し開始時期も調べておいた方がいいでしょう。工事中の街区に中にあるクリニックは、周辺からも認知されにくいため、もともとの地元住民も来院もし難い状況です。開業時期には色々な事情がありますので、必ずしもベストの状態で望めるとは限りませんが、そんな時には外的要因に対する備えを万全にしておきましょう。事例での対処方法としては、半年間の運転資金の十分な確保です。加えて半年後に備えてホームページのSEO対策を万全にしておきましょう。看板や広告に過度に費用をかけても効果は薄いと思われますので、眼前のできることを、着実に足元を固めていく方策がベターであると考えられます。
メディカルタクト 代表コンサルタント 柳 尚信
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