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2018.08.07

Vol.196 どうする?スタッフの勤怠管理

院長としては、診療に関すること以外の業務は極力したくないものである。給料計算は社会保険手続きレセプトなど、具体的な業務については会計事務所や社会保険労務士に依頼するか、専門業者に委託することができるため、コストはかかるものの業務管理をするストレスからは解放されます。避けて通れないのがスタッフの労務管理です。その中でも日々の勤怠に関する内容については、直接的であれ間接的であれ院長が最終的に業務上の責任を負わなければなりません。楽にするということはできないかもしれませんが、一つ一つの業務を見直してみることにしましょう。

 

A皮膚科クリニックは一般外来を行う通常の外来部門と、メディカルエス併設されています。同じフロアにありますが、クリニックとエステサロンは、それぞれ独立した区画となっています。そのため、それぞれのスタッフ同士が交流することも少なく、風通しはよくないと言えます。本来なら院長が間に入って気を遣うべきところなのかもしれません。

普段の院長は、クリニックに出勤して、診療が終わればそのまま帰宅するというスタイルであるため、エステサロンを覗くことも少なくなっている様です。そのためか、エステのスタッフは職務規律(服務規律)を軽んじる様になり、独自のルールで運用する様になっています。タイムカードを見ると、出勤時間はギリギリで、終業時間は数分前の打刻の時もあれば、必要がないと思われる残業も散見されます。本業のクリニックが忙しく、放置していた結果がこの有様です。院長はエステサロンの責任者を呼んで話を聞いてみました。

 

A院長「暫く忙しくて、ご御免なさい。ところで出退勤のことで聞きたいんだけど。」

スタッフ「朝9時の出勤で、夜は18時に退勤する様にしていますが・・・。」

A院長「朝の出勤時間は皆さん9時ギリギリだけど、お掃除はどうしてるの?」

スタッフ「お客様は予約制なので、空いている時間にお掃除しています。」

A院長「クリニックのスタッフは30分前に出勤して掃除してるの。サロンも同じ様にすることになっていたはずよ。」

スタッフ「すいません。朝一で予約が入ることがないので、いつの間にか、こんなことになってしまっています。」

A院長「残業時間はいいといしても、退勤時刻の数分前の打刻はどうゆうことかしら?」

スタッフ「すいません。お客さんがいなかったので、・・・・早めに打刻してしまいました。」

 

(まとめ)

目の届かない事業所で働くスタッフの勤怠管理まで、院長がするのは現実的にはできないでしょう。基本的には自己管理させることになるのですが、性善説で対抗するのであれば相応のことをしなければなりません。この事例の場合、始業時間ギリギリに出勤してくることは法的には問題ありません。クリニックでは30分前に出勤し、全員で掃除を行っていることの意味を考えてみましょう。仕事に入る前の心構えと、患者を迎え入れる態勢を整えるのに必要な時間なのです。義務的に出勤し、義務的に掃除しているスタッフと、ホスピタリティを考えて行動しているスタッフとでは、サービスの質において大きく異なります。院長の落ち度としては、本質的な意味を伝えていなかったところにあります。こうしたことは一朝一夕にスタッフに理解してもらえるものではありませんので、具体的な管理手法としては、チェックする仕組みで対抗することです。朝の出勤については、着替えの後、全スタッフが一同に会するところからスタートし清掃に入る様にしました。本心から院長の意図を理解しているスタッフは少ないかもしれませんが、形から入ることで経営者の意思を発信していきましょう。放置していてはいい方向には向かっていきません。人は安きに流れるモノです。そうならない様に、院長として歯止めをかける仕組みを考えてみて下さい。

 

メディカルタクト 代表コンサルタント  柳  尚信

 

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